595話 犬神様と、謎な襲撃


『詳しく!その犬神様を詳しく!』


「えー?ちょっと待ってくださいね…およそ1100才で元は高僧から法師になった人物に使役されていたが、その後その一族に従い各地を転々とし俺───兄者に襲いかかってきた所を拾い、使い魔契約をし道術、仙術を触りだけ教え先方の目的も果たしたようなので開放する。

 ───あれ?これ前に兄さんが連れて来ていたわんこじゃない?それならそうと書けば良いのに…おっきな白い犬野性に帰したら怒られるよって言ったけど大丈夫だって…そう言うことかぁ」


『大丈夫じゃ無いからね!?』

『犬神が道術や仙術覚えるって何!?』

『いやいや待って待って!だからあの犬神様狩衣姿で呪符とか持ってたの!?』

『犬神なのに陰陽師!?』

『陰陽師やない。法師、もしくは道士や』


「佑那の良い練習相手だったんだけどなぁ…佑那の攻撃を避けたり隙を見てタックルしたり…そっかぁ…言葉の分かる賢いわんこだと思ってたけどその通りだったか」


『あかん!巫女様犬神様=言葉の分かる賢いわんこ扱いやぞ!?』

『そこはまあ、巫女様だし?』

『この常識のズレが巫女様の持ち味でしょうが』

『諦めろ…でも巫女様、その犬神様ってなんなん?』

『うちらの英雄』


 あれ?でも中国地域まで出張ってる?

「山陰側を主な活動拠点としているってあるけど…中国地方まででてきてる?…ま、いっか」

 その後ちょっとした雑談をしていたら巽さんと課長が来た。



「きちんと眠っているか?」

 と、課長から即突っ込まれた。

「勿論、寝ましたよ?」

 仮眠ですが。

「仮眠だな」

「仮眠ですね」

 2人の中では決定事項!?

「3~4時間は寝ましたよ!?」

「「…………」」

 何でそんなしょっぱい顔するんですかねぇ!?

 僕たちは協会へと転移した。

 そして転移した協会会議室では…修羅場となっていた。

「何事だ!?」

 課長が扉を開くとそこに居た人達がビクリと震える。

「分かりませんっ!突然、空から何かが降ってきて本部前に落下して、複数のトラ男が!」

 課長と巽さんが慌てて会議室を出て行く。

 まあ、ここの防衛は問題無いんですけど…

「あ、怪我人はいますか?」

「い、いえ…先程医療班の方々が治療してくれました」

 ボロボロではあるけれど、怪我はない。

「タイムさんタイムさん。護衛士官と医療拠点士官を連れてきてもらっても?」

「ラジャッス!」

「さあて…あれ?トラ男さんってどれだけ居たんですかねぇ?」

 あとどこから跳んできたのか…結界内だとは思うけど。

 会議室を出る。

 そこかしこに探索者達が座り込んでいた。

「えっ?もしかして一晩中とか?」

「お姉様ッ!」

 有間さん?なんでここに…

「おはよう有間さん。この惨状は?」

「2~30分前に駐車場辺りで大きな音がして…そしたらすぐに戦っている音とか悲鳴が聞こえて」

「あー…」

「連れてきたッス」

「2人ともここの防衛とカウンターをお願いします」

 2人は頷くとすぐに移動を開始した。

「有間さん、他の職員は?」

「七時上がりの人達は職員用出口をロックしてバリケードを築いています。全員広報課と管理課のみなさんです」

 ということは特務課は僕以外はオフェンスかぁ…おかしな所は多々あるけど、とりあえず………打刻しよう。


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