790話 鎮守府とは(疑問系)


「えっ?聞いてないの?僕確か……………あー」

 目を細め遠くを見る祓戸にフィラが「あっ、これやらかしてる?」と警戒する。

「やはりお伝えしていないのですね?」

「いやいや伝えたよ。あの子、巽に。と言うのも中務省の実働部隊も同じ鎮守府へ編制して総合で動こうって話だから」

 まあもっとも、と言葉が続く。

「その後すぐに片方が攫われたからね…僕からも進捗確認含めてやっておくべきだったよ。ゴメンって伝えて」

 祓戸は小さく息を吐き苦笑した。



「あぁ、そういう…」

 フィラさんから内容を聞いた僕はため息を吐く。

「ほぼ元に戻したのにまたマンション全改装?戻さなかった方が良いんじゃなのかなぁ…作り替えるのも戻すのもリソースが必要だって呻いてたのに…」

「えっ?」

 フィラさんがギョッとした顔で僕を見る。

「だって今神様方が憩いの場にして居る部屋は元ダンジョンだよ?現在制御を奪ってこちらのものにしているけど、それを広げたり縮めたりしているわけだからさ」

「恐ろしい…」

「ま、向こうを管理している神様は複数いるからまとめてどうにかしないと制御権は奪えないだろうし、何よりも───神国への扉と僕の箱庭が楔になっているからどのみち制御権は奪いきることは無理だよ」

 ニヤリと笑う僕にフィラさんは顔を真っ赤にする。

「あの、その顔でその表情は…凄く艶やかで…」

 なんで!?もうそれ兄さん要素皆無じゃない!?



 鎮守府の稼働は4日後からと言うことらしいけど、僕らは基本変わらないらしい。

 あと役職が今は4つで5段階しかないらしく、将軍・副将軍・軍監・軍曹の役職と一般あわせての5段階。

 律令制かな?このままいくと大宰府とか弾正台とか作らない?大丈夫?

 部長が軍監で課長は軍曹になるらしいけど…将軍や副将軍って誰?となる。

 何か知っている人な気がするので知らない振りしておこう。

 あと、将軍だから大将クラスと思ったら元帥扱いらしい。

 副将軍は中将扱いで軍監はと言うと佐官待遇。

 じゃあ軍曹はと言うと…少佐から尉官待遇とのこと。

 まあ、無理矢理軍の階級にしたら…という話らしいけど。

 僕らは一般職員。でも経験と能力によって給与額とかが変わるらしい。

 僕は一般職員なので問題無いのs「岩崎は」はへ?

 課長が僕を見る。

「岩崎は広報も担っているからな?勿論特別待遇だぞ?」

 いやぁ、それは止めて欲しいと切に願っているのですが…とこの姿では言えない!

「…そんな色気マシマシの苦笑をされても私がドキドキするだけだからな!?」

 いやそんな苦笑しておりませんが?


 午前のお仕事を終えて帰路につく。

 午後はちょっとやること満載なので仕方ないよね!…ということで巽さんに送ってもらう。

「姫様は…いえ」

 何か言いたげな巽さんだけど、言葉が続かず運転に専念している。

 と、車の前に靄が現れ、巽さんが慌てて急ブレーキを踏んだ。

 その靄は結界の中に無理矢理進入しようとしているせいかバチバチと音を立てている…が、なかなか突破出来ないようだ。

 転移のゲートがどれだけバックドアになっていたのか良く分かるわぁ…そんな事を思いながらペットボトルを取り出す。

 中身は箱庭の美味しい水。

 バチバチと音を立てながらそれはなんとか進入を果たそうと───

「友k「えいっ」」

 ビシャッ………ジュゥゥゥゥッッ

「ゥアアアアアアッッヅゥゥゥッ!!」

 悲鳴をあげてナニカが引っ込み、靄が消えた。

「えっと、あの、姫様…それは…?」

「これ?ただの飲料水。まあ、問題は解決したっぽいから帰ろ?」

 僕はそう言って飲んで見せた。


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