888話 仏神兵鎮圧!


「───他化自在天…成る程。反乱の神々の総大将ですね」

『何故そう思った?』

「ゼウス神を狙撃しようとした矢ですよ。特徴的な矢でしたし、何よりも欲望を発露させるための力が籠もっていました。それこそその場に居る神をも惑わす程でした」

『ああ、君が摘出と処置をしたのか…んんっ?その場にいる神をも?』

「ええ。僕が到着したとき、処置をしていた女神様が発情していましたよ?」

『…君は?』

 急に声が固くなった。

「治療が必要な人がいるのにそれは駄目じゃないですか。人として」

『えっ?いや、あのね?』

 何だろう、凄く動揺した声だぞ?

「一応摘出と破魔、そして浄化を行い矢をこちらで保管していましたが…爆発によって無くなりました」

『ええええ?本当に君は何をやらかしているのか…聖人よりも聖人で神よりも尊いんだけど?…その矢に触れて少しも心が動かなかったのかな?』

 うーん?普通に治療して部屋を出たよなぁ…

「はい。全く」

『……欲って概念、知ってる?』

 何か途轍もなく失礼なこと言われてる!?

「勿論ですよ。マイヤやリムネーにもっとおいしいものを食べて欲しいとか、神様方に新しいお酒を飲んで貰いたいとか、スーパーの特売地獄からは解脱したからかも知れません!」

『うん、絶対に違うよ。君の欲は千倍、万倍に膨らませても一般よりもなお低いんだろうね』

 呆れたような声色だった。解せぬ。



「通信兵さん聞こえるー?」

『ッ!?はい!しっかり聞こえております!』

「その仏神兵ぶっ飛ばしてOKと伝えてください」

『畏まりました!主様より攻撃命令!繰り返す!主様より攻撃命令!』

 伝達が成された瞬間にうちの部隊員達が大盾でぶん殴ったり発砲を始めた。

「発砲!?」

『あっ、ご心配なく!特殊なゴム弾ですので人に当たっても骨折後に回復します』

「「なにそれ怖い」」

 課長と巽さんがどん引きしてるし。

「あ、でも実践想定戦では便利かも?」

『その通りです!私達は常時それを行っています!』

 通信士さん嬉しそうだぁ…

 あっ、完全に鎮圧した。

 全員消えた…しかしなぁ…どうしたものか。

「これ、結界を全面的に弄らないといけないよね…協会本部に重装救命官が張っている結界も抜けてきたの?」

『いえ、我々の結界は常駐員が居ますのでアクティブ敵性判定です』

 ……って、なんぞ?

 僕が首をかしげたのが分かったのか、通信兵さんが説明を始めた。

 まとめると、敵性反応及び攻撃のモーション等は見えなくても明らかにおかしいと判断された場合に発動させるらしい。

 そうでなくても一応の対悪意のセンサーを張り対邪結界も張ってはいるらしい。

「聖域に張るべき結界ですよね…これ」

「そうだな…まあ、岩崎がいるのだから最低限それくらい無いといけないと言うことだろう」

『はい!主様の職場を全力で守ります!』

 うん。頼もしい。

「じゃあ、気を付けて守ってね」

 そう言って通信を終えた。

「凄いことになっているな」

「こんな状態になっていたのに電話がないのは逆に不安になりますね…」

「あっ、それならお二人にお願いしたいことが…ハヴァスターイ様とマイヤの2人と一緒にちょっとスーパーまでお買い物に行って貰っても良いですか?お菓子とか買いになんですけどね?」

「「えっ?」」

 時間帯的にそろそろ大人と一緒が良いかなーって思うんですよねー。


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