889話 おかいものへいこう!①
2人の許可を得たためハヴァスターイ様とマイヤを呼んでくる。
「『おねがいします!』」
「「尊いっっ!!」」
あの、課長も巽さんも勢いよく膝を突いて拝むの止めてもろても?
SIDE:藤岡
「戦場に出るよりも緊張するんだが…ただのエスコートなのに」
「同じく。私、こんな幸せを享受しても良いんですかね?」
たかがスーパーに歩いて買い物に行くだけ。
にもかかわらず緊張する。
マンションを出た現在私の左手を邪神・ハヴァスターイ様が繋ぎ、その隣を少し大きくなったマイヤ嬢、そしてその隣が巽という感じだ。
ハヴァスターイ様はもう上機嫌も上機嫌でマイヤ嬢とおしゃべりをしている。
マイヤ嬢も『おかし楽しみだね~』とニコニコ顔だ。癒やされる。
そして我々から少し離れた所で複数の部隊が護衛をしている。
しかもこの2人、それぞれ岩崎から1万円を渡されて「この金額内で買ってくるようにね?」と言われていた。
多すぎだろ…まあ、神々で食べるからだろうが…買い尽くすんじゃないか?流石に1~2万でそれはないか。
そして私達に岩崎は一つ釘を刺した。
「課長と巽さんはお金を出さないようお願いします」
いつになく真剣な顔だったせいもあり、
「「はい」」
それ以外の言葉を言えなかった。
スーパーに入りハヴァスターイ様とマイヤ嬢は迷うことなく真っ直ぐお菓子コーナーへと向かった。
私達も買い物篭を手にその後を追う。
「えっとね、これと、これと、これ!」
『マイヤはね、これと…んっと、あっ、こっちの方が安い?なんで?』
直感でどんどん買っていくハヴァスターイ様に対してマイヤ嬢はポテトチップスのグラム数と価格を見比べて首をかしげている。
マイヤ嬢も岩崎一族か…なんだかんだ言っても価格と商品をしっかり確認する…
「ハヴァスターイ様、買いすぎたら価格をオーバーする可能性がありますが」
巽が念のためにと声を掛けるとハヴァスターイ様はハッとした顔をした。
「…そっか。一万円」
『このカエルさんのおかし、一杯入っているのに安い!』
マイヤ嬢がスナック菓子を見付け大はしゃぎしている。
それを聞きつけてハヴァスターイ様も駆け寄り…
「おお!ソース味!これは、つよい!」
『白城おねーさんたちの分と、メリアおねーさんたちの分、神兵さんたちの分、ちーくんたちの分、パパの分、皆で食べる分、神さまたちの分!』
ガッサガッサと同じお菓子を入れていく。
本当に岩崎の娘だよ…良い子過ぎるよ…私この子にお菓子を貢ぎたいんだけど!?
そんな衝動を必死で抑えて巽を見る。
巽も涙目でプルプル震えている。
ああ、尊死寸前だ。
『あっ!かちょーさんとたつみさんのぶん!』
「「はうっ!?」」
膝を突くな私!せめて、せめて立ち往生を!
「………わっ、私達の分は気にせず好きな物をお願いッ、します…」
なんとか声を絞り出す。
胸が苦しい…てぇてぇの過剰摂取は尊死なんだからホント勘弁してください…
「向こうのコーナーに、ジュースがあります、よ」
巽ナイスアシスト!とりあえずお菓子コーナーから一時的にでも引き剥がそう!
少女2人は巽の台詞を聞き、「『ジュース!』」と声を上げてそのコーナーへ向かって行った。
「…課長、大丈夫、ですか?」
「心臓が、痛い…」
「私もです…」
私達はフラフラしながらも2人の後を追った。
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