695話  終わらない鉄槌・タイム


 コメント欄が困惑で埋め尽くされる中、何やら凄いパワーワードがあった。

『通報しました』

 これだけならまあ、何処に?ってなる。

 ただ、その後に続く文字が。


『通報しました。巫女様の兄者様に』


 あっ、(相手が)オワタ…


 嘘かホントか通報したというコメントが流れ、それと同時にゆる姉様が探知確定させたみたいだ。

「はーい乱入するよ!」

 スタジオにゆる姉様が入ってきた。

「ねえ馬鹿なの?中位上級世界の神や上位世界の神、更にはその上の神々が見ているこのチャンネルでそんな暴挙をするなんて、さ?」

 ゆる姉様がニヤリと笑い、虚空に1つの映像を見せた。

 そこに映し出されたものは…部屋に密集している植物だった。

「おー…明らかに人では無いし、動く植物かぁ…あっ、こっち見た」


『うわ、キモイ…』

『食虫植物を大きくして動くようになったらこんな感じ?』

『いや、どうなんだ?』

『左端、人の足じゃ無い?』

『本当だ!やべぇ!』


 騒ぐコメント欄だったけど、何か…あっ!

 部屋の一部が吹き飛び、紫色の炎が周辺を燃やし尽くした。

「うっわ…本当に通報してるぅ」

「えっ!?」

 慌てて映像を見ると…RXな姿の人物がそこに居た。

「うわぁ…うわぁ…!」

 僕は頭を抱えるしか無い。

 他にもあったと思うんだ!なんでそれなの!?


『絶対ライダーなキックでダイナミックお邪魔しますしただろw』

『黒いボディと真っ赤な目!そして植物の天敵!』

『えっ?マジで兄者なの!?』

『ガチで鉄槌下しにやってきたぞ!?』


「いやホント何やってるのさ!」

 映像はまだ続く。

 推定兄さんは光る剣を取り出すと周辺の蔦のような物を斬り刻む。

 液体が飛び散り、周辺がジュウジュウと溶け、煙に包まれる。

 ───なんか心配できない自分がいるぅ。

 と言うよりも兄さんがあんな姿で居る時点で勝ち確じゃ無いですか。

 あっ、煙が吹き飛ばされ…

「っ!?」

 兄さんが焼けている!?そして蔦が槍みたいに刺さっている!?


『まさかの敗北!?』

『いやそれはないだろ…え?でもここより上の世界の敵だし…』

『なんか蔦がドクンドクン脈打ってる!』

『なんかやばいんだけど!』


「失礼する」

 ミツルギ姉様は部屋に入ってきた。

「相手の繋がっている先が分かった。世界自体は下位上級だが、数年前に食い尽くされた中位中級世界があった場所だ」

「えっ?じゃあ兄さん舐めプ敗北?」

「「兄に対して厳しくない!?」」

 いや、ねぇ…?

 兄さんが舐めプするわけないとは思うけど、中位世界だと色々ねぇ…

 あっ…兄さんが、溶けた!?

 その溶けた兄さんはそれ以上動くこと無く、消滅した。

「で、どうしよっか…部隊と神兵派遣した方が良いですよね」

「なんでそう冷静なの!?」

「いや、だって…現状あれを何とかしなければいけないじゃ無いですか。泣くとすればその後です」

「…ゆーくん」

「それにアレ、兄さんですけど兄さんでは無いですし」

「「は?」」

 兄さんなら確認が必要な敵でなければ間違いなく初手必殺技ぶちかますし。

「ほら、兄さん普通に壊した所から入ってきたし…」

「「はあっ!?」」

 映像には兄さんが普通に壊した所から侵入し、顔をしかめていた。

 ───相手にしてみたら倒したと思ったら本体来たとか悪夢だよ…


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