696話 仮面兄者ブラックRX
SIDE:結羽人
友紀が変な事件に巻き込まれていると聞いて偵察として呪符型の式神を飛ばしたら…なんだかロクデモナイ奴等がいるな。
タロットカードを1枚取り出し前に投げる。
それは先に突撃させた者と同じ姿となり、俺の前に立つ。
俺は右の拳を肩の高さまで掲げ、同時に左拳を右手首の側で握りしめギリギリと握りしめる。体内の人気を駆け巡らせ、超加速させながらもあの変身ポーズをした。
「変…身っ!」
SIDE:友紀
やばすぎるって…ニチアサ案件どころか大事故じゃ無いですか!
黒と黒のRXがいるし!ゆる姉様もミツルギ姉様も目をキラキラさせているし!
『ま さ か の』
『これ、完全に勝ち確じゃないですかヤダー!』
『沈黙レベルの超不条理兄者登場w』
『まあ、黒RX含め理不尽の権化だが、兄者が通常の黒って…』
『俺、BGMとして某曲をチョイス』
『深夜の戦闘中で一旦休憩で下がったのにそんなん見せられたら戦うしか無いw』
『おのれダンジョン!ゆ゛る゛ざ ん゛!』
あっ、兄さんがベルトに手を当てて無数の光弾を植物にぶつけた!
植物がほぼ全滅した…ええええ?
あ、扉を見た。
式神?が扉を斬った…けど、えっ?
扉の向こうは不自然なほど漆黒の空間だった。
扉のあった所より先は一切見えない。
なんか少し悩んだ末、兄さんのベルトから赤い石を取りだした。
「あれは、なんだ?」
「えっ?何あれ…何あれ!魔力と神気が綺麗に混ざってるし、良く分からない力も入ってる!」
ミツルギ姉様が目をこらすように映像を見、ゆる姉様は混乱している。
「………まあ、兄さんだし」
僕は魔法の言葉を発する。
うん。お二方ともチベスナ顔でこっち見んな。犯人は現場にいますから。僕じゃ無い。僕じゃ無い(強調)。
あ、石がサーベルになった。えっ?何そのオリジナル展開。
式神さんも光る剣を取り出したし!
式神さんが後ろに跳び退きながら光の剣を漆黒の空間目掛けて投げつけて───兄さんがその剣ごと空間を斬った!
「いやいや…待て!今のはゲートだろうし、その前には強力な膜があったぞ!?」
「そうだよ!それに世界が繋がっているっぽいのに、正面から斬ったらとんでもない事に!」
慌てるミツルギ姉様とゆる姉様。
ただ、兄さんだよ?
映像は眩い光でホワイトアウトし、映像が戻った頃には普通の空間に戻っていた。
「嘘ォ…空間を斬ったり壊すのは分かるけど、あの膜って次元を斬るとかそういった概念どころの話じゃないんだけど…」
「まさか…いや、次元を越えたり世界を越えるというのは分かっていたが…ぇえ?」
まあ、うん。仕方ないよ。兄さんだし。
特撮ヒーロー2人?組は辺りを確認し、消えた。
『マジで兄者一人で良いんじゃないかな?』
『今日はアシスタントがいただろうが!』
『犠牲者?もね!』
『あれ、偵察用のデコイだろ…』
『次はどんな姿で出て来てくれるのか、興味しか無い』
『次のために全力で生き延びる!』
コメント欄は平常運転。でも、お二方は頭を抱えたままだった。
「まあ、うん。無事解決という事で、お疲れ様でした。配信を終了します」
僕はそう言って配信を終えた。
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