152話 延命~延命か、救命か。それが問題です。
瓶の中身を説明するとその場に居た全員が頭を抱えた。
「無理ですっ!いくら何でも!これを上に持って行けば確実に国単位での騒ぎに!」
「若返りの秘薬か、急速上級回復薬か…」
「究極の二者択一…」
[そこまでですか?]
「…恐らく2.3滴であのマンションは手に入ります」
[へぇー…でも多いと大変と]
「どうしますか?」
[みんな考えすぎですよ?確かに危険な物だとは思いましたが]
「…どういうこと?」
[若返りは、現状要りませんよね?]
「「「えっ?」」」
[命優先では?]
「「「あっ…」」」
[西脇さん。済みませんが50リットル入る水タンクって、どこで売っているか分かりますか?]
「水タンク?って50リットル!?…ホームセンターとかには売っていると思うけど」
「今すぐ手配します」
巽さんがどこかに電話を掛ける。
「20分以内に用意するとのことです」
───はやくね?
~~20分後~~
本当に持って来た。軽ワゴンに水も入った状態で。
「ご苦労様です」
「はっ!」
巽さんに対して敬礼する軍人?二人組。
[えっと、この水は飲めますか?]
「はい!未使用の水タンクにミネラルウォーターを入れました!」
[説明ありがとうございます]
「で?岩崎。どうするつもりだ?」
[えっ?これに入れるんですよ?]
「まさか…そんな気はしていたが…」
「えっ?でも1滴50倍希釈よ!?」
[それは急速上級回復薬ですよね?]
僕はタンクの蓋を開けて小瓶の蓋を開け、そのまま投入した。
「「「あああああっ!!」」」
悲鳴を上げる三人。
何事かと驚く軍人?二人。
水タンクが光り、ガラス製のような水タンクがそこに鎮座していた。
【賢者の雫】:付属のグラス1杯で急速回復薬の効果。2杯で中級回復薬の効果がある。
中身の説明をすると全員が乾いた笑いをしていた。
「は、ははは…」
「計算が、あわないけど…これが正解…?」
「まさか、岩崎はこれを知って?」
[いや、知りませんよ?ただ、ゆる姉様がこう気前よく渡してきたので何か一ひねりギミックがあるかなぁと。
あと、これがあれば現在苦しんでいる人も多く救えるでしょ?]
「…姫様」
「若返りに踊らされず、救済だけに着眼する。岩崎らしいな」
「医療チーム失格だな…」
[三者三様何か思う所があるのか思い詰めた顔をしているけど、急いだ方が良くないですか?]
「えっ?」
[あちこちで問題が起きているのならこれは至急必要ですよね?]
「っ!?」
「本部へ連絡します!」
[後払いでも良いし、権利でも良いけど…足りるかなぁ…]
【ゆる:ないすぅ!瓶ごと溶かして正解だよ!その容器自体聖属性付いているから水をつぎ足せばその中身がなくなっても暫くは効能あるから!】
───えっ?
慌てて容器を鑑定する。
【神授の水瓶】:水を入れると回復ポーションを生成する。効果が無くなる時は容器の上部から段階ごとに徐々に消えていく。
Oh…中身よりこれがやばかったわぁ…
僕は改めてこの容器の説明をする。
「岩崎が岩崎でよかった…っ!」
「姫様姫様姫様姫様っ!」
「何だろう…涙が止まらない…」
「「我々を思って……っ!!」」
[いや、結果論ですよ?結果こうなっただけですよ!?]
───あと、今度からは中身も外も含めて鑑定は確りしよう…僕覚えた。
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