556話 緑の民の自己紹介と、巫女の名付け
隔離結界を解除してもらい、お姉さんの隣で横になり───即捕獲された。
いや、横たわった状態だったから見えるかなぁ?って隣で横になってみただけなんですけどね?
「ああっ、あああ…っ!」
虚ろな目だったお姉さんが涙を流して僕に頬ずりする。
いや、僕は怪しげなお薬ですかね?…なんて事は言えない。
「お姉さん、僕は大丈夫ですよ」
そう言いながら空いている手でトントンと背中を叩いた。
漸く落ち着いたお姉さんはゆっくりと起き上がる。
「ごめんなさい。気が動転していたわ…」
「もう、いいの?」
僕も起き上がって対面する。
「~~~~~っ!!!」
あ、また抱きついてきた
「心配したんだから!私のために、君が死んだら何の意味も無いじゃないのっ!」
「いやぁ…勝算は全然ありましたし、現にこうして無事ですし…」
「………貴方が死んでいたら私も命を絶っていたわ」
「えー?」
なんでそんなヤンデレ状態なんですかねぇ?
「今回の件、兄さんが言うには8割邪魔してきた神が悪いという事になって…」
「は?ここにも邪神族が居るの?滅ぼすわ」
あの、お姉さん?キャラ変わってますよ?
~~復活の巫女説明中~~
「───じゃあ、本当に大丈夫だったはずなの?」
「はい。僕は安全マージンを取っていました。まあ、ソレが阻害されていたんですが…」
あ、険しい顔になってる…
これ、最悪僕が死ぬ可能性云々を言ったら怒られるだろうなぁ…うん。
「…はぁ、熱くなってしまったわね…」
「…そろそろ自己紹介を含めて話を聞きたいんだが」
「「あっ…」」
僕とお姉さんは同時に声を上げた。
そう言えば、僕、お姉さんの名前も何も知らないや…
そしてお姉さんもその事に気付いたのかちょっと呆けた感じになっていた。
「あー…そうね。ただ、私のフルネームが長いのでこちらに合わせた名前で言うと…エ・ゼクス・コ・エクアと言う名前になるわ。そしてややこしいけどエクアは名前でも名字でもないの…うーんもう世界も一族も掟も無いから新しい名前で良いかな」
「それで良いの?」
「いいのいいの。どうせもう呼ばれることは無いだろうし、呼ばれる時は枷のための呪言だろうから変えておいた方が良いわ。そうだ。友紀が付けて」
「ぅえ!?」
僕が付けるの!?
「あと、名字は岩崎で」
「岩崎!?じゃあ日本名!?」
「えっ?マイヤちゃんやリムネーちゃんは違うでしょ?」
「あの子達は娘だから…」
「私はお姉さんよ?」
「あうっ…」
「年齢的には長女か?」
「失礼ね。地球的には………26歳よ」
「ヴェール…岩崎・ラ・ヴェールとか?」
「いや何故ソレなんだ?しかも何故ラを入れた?」
「………」
あれっ?どうして二人とも僕を真剣な顔で見ているの?
「えっとね、神秘のヴェールって言葉と、緑ってヴェールって呼ぶ所があるから…で、ラが女性を意味していたような?」
「……成る程。何となくか…冠詞的な意味等考えていなかったのか」
「じゃあ、私の名前は岩崎・ラ・ヴェールね。ヴェル姉さんと呼んでくれても良いのよ?」
「ラベル」
兄さんソレはちょっと…悪意籠もってませんかね?
「殴るわよ」
ほら、お姉さんも何となく意図を察しているし…
「ラヴィお姉さん…とか?」
僕がそう提案すると、お姉さんは凄く嬉しそうな顔をして抱きしめてきた。
「…ああ…やっぱりリアル弟が可愛すぎて…良い」
「駄目妹(仮)が増えて辛いんだが…友紀。ここで面倒見ろよ?外に出すなよ?もれなく大問題になるからな」
「大問題になるの!?」
「恐らくなる。ただ、本人の口から色々聞かないといけないが…」
【新女神領域 公称「」 通称「巫女の箱庭」座標:Mpd5t7F:Bd7lk79:Ca1tNy4:Zin6tgに神が名付けた住人が登録されました】
なんか、態々メッセージが出た!?
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