95話 習練~反復練習的な圧力
神域への扉を開けるとせお姉様とミツルギ姉様が待ち構えていた。
「まずはじめの一時間は神威に慣れよう!という感じで僕が個別単位で制御しながら圧を掛けるからね!」
[質問です!神圧に慣れるとどのようなメリットがありますか?]
「良い質問だね!君が車の中で行ったまんまの答えだよ!」
…話し終わっちゃう…
「それと、慣れるのと同時に体に染み込んで素手で悪霊程度ならパンと瞬殺できるよ!」
[防御機構みたいにですか?]
「あのレベルまでは無理だけど、普通の戦闘職が纏うオーラが無意識に付く…ええっと、パッシブ効果!ってやつになるんだ」
[へぇ…でもそれって、退魔に対してですよね?]
「いいや退魔だけではなく肉体的にもだよ。神威や神力を取り込んだ人間は基本的に強大な力を得るんだ」
[凄いなぁ…]
「ただ、通常はそんな神威に長時間晒されていたら体が変調を来たしちゃうかも知れないからまずは一時間ね!」
満面の笑みでせお姉様はそう言ったんだけど…
[あの、せお姉様?]
「ん?なぁに?」
[僕達、まだ全員神域に入ってすらいないんですけど…]
「あ、ごめん。気が逸っちゃってたよ」
せお姉様のてへぺろ可愛い!
「…巽、神様と岩崎の対話は、毎回こんな感じなのか?」
「はい。この息の詰まるような神域の中、リラックスしたやりとりが…」
「何というか、凄いな」
「こんなプレッシャーの中、普通に話しているお二人も、凄いです…」
[タイムさん、フィラさん、護衛ありがとうございました]
「ッス!」
「…ずっと見張られていたのは少し恐怖でした」
[姿を見せていれば良かったんだと思いますが…]
「「「!?」」」
突然現れたせいか、三人が瞬時に臨戦態勢を取った。
「…異相に居る者の把握が出来ていないか…午後の鍛錬は決まりだな」
ミツルギ姉様がニィっと好戦的な笑みを見せた。
[では僕はお昼の準備をしますが…リクエ「エビフライ!」…エビフライですね。
せお姉様、幼児退行しすぎでは?あの会見の時のモードは何処へ…]
「師匠!今回は何を作るのですか?」
キッチンに立った僕にタイムさんが食い気味に問いかける。
[今回は…ミートボールスパゲッティとエビフライ、そしてキャベツスープにします]
「エビフライはさっきリクエスト受けた物ッスよね?」
[うん。だけどエビフライは主食にはならないから天丼にするか他の付け合わせにする場合が多いんだけど…
まとめて作れてみんな大好きという料理なら日本の子どもが好きな食べ物ランキングで5位以内にいるスパゲッティにしようかな、と]
「凄く楽しみッス!」
[じゃあ一気に作っていくけど、小技無しでやるからしっかりみてね?]
~~姫様調理中~~
───マジで疲れた。
パスタをキロ単位でゆであげるのは辛い。
空間操作覚えて無かったら色々詰んでいたと思う。
かなり乱暴な言い方をするとナポリタンにミートボールを入れたもの、と言っても良いかも知れないけど、ミートボールの味を立てるために実は少し味は薄めだ。
なのでケチャップで味をちょっと濃いめに調える。
御免ね上品な料理法じゃなくて!と誰かに謝りながら作り上げる。
そして次にキャベツスープを作り、最後にエビフライを一気に作る。
[エビフライはできたてが命!皆にご飯できたって伝えてください]
「「了解しました!!」」
二人が敬礼をして走り去った。
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