145話 信者~入信者ゲットだぜ!(巽)

 とりあえず、ロザリオを渡して帰ってもらおう。

 [───でもこの方々、動かないんですけど?]

 巽さんを見る。

「さっき一つでそうでしたよね?6つだとどうなるか分かりますよね?」

[巽さんは平気なのに…]

「不意打ちされたらああなります。現状もかなり一杯一杯ですよ!?」

[あ、そうなのかーあとで巽さん用を用意しようと思っているのになぁ…]

「おいおい死んだわ私。具体的には神々の圧で」

 仕方なく3つをしまうと数名がようやく動き始めた。

[この程度でこんな反応だったら、確かに神域は無理だね…]

「私としては姫様があんな状態で平然と出来るのかが…いや、姫様のご兄妹全員常識の外でしたね」

 巽さんの口が悪くなっていく…

「…失礼した。こちらのロザリオを、我が国に?」

[はい。両国に3つずつですね。先程言ったように半年しか現存しないのでこれを使って急ぎ危険な各ダンジョンのモンスターを倒してください]

「はっ!」

 まずはカナダ大使に3つ渡すと無茶苦茶恭しく…いやこれなんか授与される時とか以上に傅いてないですか!?

 いや、普通に受け取ってくださいよ…

 そんな事を言いながら普通に渡す。

 そしてスペイン大使にも同じように3つ渡し…だから何故傅くんですか!?

「やらなければならないと思った。後悔はしていない」

 存外お茶目さんだぞこの人!?

 いや、真顔だ…えぇー?


[やっと帰ってくれたぁ…]

「よい信者が増えました」

[待って!?信者!?]

「はい。彼等であれば何かあった時に身命を賭してでも姫様を守るでしょう」

 巽さん。それ、信者やない。狂信者や…

[あ、そういえば…はい]

「っ!?」

[巽さんの分。あと、これを中務省に渡して?]

 ジャラッ

 祈念珠を10渡した。

「~~~~~っ!?テロですよ!?あふれ出ている神威でプチ神域が出来てます!」

 巽さんは慌ててプライベートボックスにしまった。

[あっ、そっか!これを八方位に置けば簡易神域が出来て神降ろしが楽になる!?]

「そんな危険なことしないでくださいよ!?大人しく分霊か依代預かった方が良いですからね!?」

 ナイスアイディアと思った矢先に巽さんから駄目出しが来た。

[ああ!更に忘れてた!]

「今度は何ですか!?」

[巽さん。これ幾らくらいになるかな?]

 僕はプライベートボックスから小判を取り出した。

「───専門ではないので分かりませんが、状態はかなり良いので高値が付きそうですね…此方は?」

[大物主神様がこれで酒買ってきてくれって。今から買いに行けるかな?]

「……少々お待ちください。価格の確認といつもの酒店に電話をしますので」

 そう言ってスマートフォンを取り出してどこかに電話を始めた。

[そういえばこの小判は慶長小判で1600年初頭に作られたらしいです]

 一応小判の情報を付け足しておく。

「…はい。大物主神様より賜ったと…とりあえず200万円で買い取った後に上振れするのなら追加で。はい」

 通話を終え、一息吐いて再び電話を掛ける。

「あ、お世話になっております。本日の営業時間は…はい。申し訳ありませんがこれから伺っても…はい。大量に購入させて戴きますので…はい。ありがとうございます。失礼致します」

 通話を切り、僕の方を見る。

「姫様。急ぎましょう」

[あ、はい。ありがとうございます…]


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