904話 大物主様がイケメン過ぎて辛い件について
神様方と佑那達は全員
「…こんなに静かなんだな」
「逆に言えば騒がしすぎたかと」
逆に言っちゃ駄目ぇ!
温泉に入り、部屋に戻るとミニサイズのマイヤが僕から飛びだしてきた。
「マイヤ?」
『今日はお外だからパパと寝る!』
箱庭の外という意味では確かに。
あと、毎日マイヤと一緒に寝てるよね?僕。
そんな事を思いながらもマイヤと仲良く眠っ…
『お父様。私も』
リムネーが転移してきてギュッと僕を抱きしめた。
アッ、ハイ…
おはようございます。
朝食も大変美味しゅうございました。
女将さんにあの後聞いた金盃の詳細と僕が確認したことを説明。
香りが消えたら効果が切れたと思って欲しい旨も説明したら感謝された。
さて、宿から出ようか───と入口を見たら報道陣が陣取っていた。
「タイムさん」
「協会の会議室直送ッス!」
入口にゲートを開いて貰い、僕たちは玄関前に立つ。
「お世話になりました。今度は前もって予約を入れてきます」
「巫女様のお部屋は常に確保しておりますのでお気になさらずお越し下さいませ」
女将さんとスタッフ一同が深々と頭を下げ見送る中、僕たちはゲートを潜った。
途中、苦労龍見付けたので一升瓶を8本渡してみんなでどうぞと言ったら「巫女様だけが優しい」と泣かれた。
京都内からのゲート移動は彼等の管轄内から移動するからか…でもそれだとどうしてダンジョンがあるのか…まあ、偽須佐之男が穴を空けたからだろうけど。
なんて会議室に到着早々グダグダ考えていたら僕が渡した領収書を見て課長が険しい顔をしている。
「……なあ岩崎。宿代が恐ろしく安いんだが?具体的には昨日の宴会代が入っていないんだが?」
あっ、バレた。
「まあ…はい。大物主様が支払ったからですね」
あの金盃とは別に。
渡しとけと言われたから会計別で支払った。
女将さんは無茶苦茶遠慮していたけど、大物主様からなので文字通り天から降ってきたお金と思って欲しいと伝えて渡した。
万札の帯封一束。
現代のお金持ってるじゃん!小判じゃ無くてそれが良いんですけど!と、心から思った。
領収書貰った際にソッと神様方へと結構な量のお土産を頂いた。
こっちの方が申し訳ないですよ!?
「何っ!?」
課長がギョッとした顔をする。
「歓待の用意をしてくれた心意気だけでも十分だそうですよ」
あの方、あまり人が好きでは無いけど、純粋な行いを否定するような無粋なことはしない方だから…
「褒美と慰安だと仰っていました」
「…なんか申し訳ないな」
ショボンとする課長。
「管轄神社に僅かばかりでも寄進をしてお礼を言えば良いと思いますよ」
「区内にあるか…帰りに寄るとしよう」
会議室から出る。
「あれっ!?3人とも何で!?記者会見するんじゃ無かったの!?」
席に着くと、駆けつけてきた広報課の主任(女性化後初手告白の前科1犯)からなんか訳の分からないことを言われた。
「何の話だ?」
「そのようなことを聞いていませんが…」
首をかしげる課長と巽さん。
だよね。
「あっ、こりゃあ…またメディアがやらかしたか」
「…あー、旅館前のマスコミはそのための連中だったのか」
「しかし、誰が呼んだのでしょうか」
「少なくともあの旅館の人間では無いだろうな」
僕らが呼んだわけでもないし、放っておこう。
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