733話 君らを神国に連れて行く?
「へぇ~…全世界のダンジョン情報を管理監督するだけの組織なのにそこまでの権限あったんだ…」
改めて送られてきたメールを読んで素直に感心していたら「無いッスよ」とタイムさんから突っ込みが入った。
「自分、今ちょっと調べてきたんスけど、あくまでも情報の収集と円滑な情報共有・供給の為の組織であって命令権はないッス。
命令によって責任が生じた場合何を以て補償するのか、総長と総長を擁立した国家が責任を取るのかと問われたために、「依頼」もしくは「要望」となっているッス」
「それなのに強制出向命令…これ、国に喧嘩を売っているのと同じだよね。結果的に課長と部長が辞めちゃったら僕も、課の皆も辞めちゃうんじゃないかなぁ…神国に受け入れてもらえるか問い合わせしようかなぁ…でも僕神国とは関係ないしなぁ」
「…ガッツリ関係者ですよ?これ以上ない位ガッツリ関係者ですよ?」
「ウェルカムですよ!」
満面の笑みでそう言いながらラヴィ姉さんが僕に抱きついてきた。
「お帰り姉さん。元気そうで良かった」
「それはこっちの台詞だからね!?本当にこの子はもう…もうっ!」
ギュウギュウ抱きついてきてデスネ…お胸…の所に着けているペンが僕に刺さっているんですよ…
「姉さん、痛い」
本当に痛いんですよ!?刺さってる刺さってるっ!
貫通はしないだろうし、血も出ないだろうけど、攻撃判定微妙な状態で痛い。
「…そういえば協会が大変な事になっているらしいんだけど、聞いた?」
「えっ?」
「メール届いてない?」
突然の問いに僕は首をかしげる。
「え?僕へのメール?」
「そう」
「今その話をしていたんだけど…えっ?何事?」
というか何故それを知っている?
「そのメール、神様方が横から勝手に見て全世界にリークしたの」
「…………えっ?」
フリーズ。からの…
バッとジャンヌさんを見る。
ジャンヌさんは「計画通り」という顔をしていた。
「ジャンヌさーん」
「はーいー」
「狙ってたのかなぁ?」
「過保護な神様方ですから、絶対悪意判定はしていると思っていました!あと言い逃れできないようにと!」
ジャンヌさん…脳筋聖女だと思ってました。ごめんなさい…そんな策略も出来るんですね。
だいたい鼓舞や煽動含めた脳筋戦術ばっかりだと…
「で、姉さん。どうなったの?」
「今配信していたんだけど…幾つかの国の政府関係者がコメントで軽くキレてたわ。支援を打ち切るとか、総長擁立国家に対してかなり強めの抗議をするみたいね」
「…国はとばっちりじゃあ…」
「でも裏では誰かさんをその国に無理矢理にでも閉じ込めようとしていたらしいわ」
閉じ込めようとって…無理だよ?
「結果、それもバラされて火消し…というか、火消しも出来ないどころかとんでもない状態だった」
うわぁ…自業自得だけど、大変そうだなぁと他人事な気分だった。
正直関わりたくなかったという感じだけど。
「協会に関しては相手の状況次第じゃないかなと。僕としては部長や課長が辞めるなら辞めますけど」
「だ・か・ら…ウェルカーム!」
「いやまだだからね!?」
何としても神国へ引き込もうとしているラヴィ姉さんを押し止めるのに苦労した。
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