734話 ごっちゃに!
SIDE:日本
「なんでこうも問題ばかり起こすぅぅぅっっ!?」
頭を抱える磯部総理と浅野副総理。
「…巫女様の善意と優しさでこの国は辛うじて無事という状態なだけなんだが…おい、これはどう始末着けさせる?」
「拠出金停止及び協会脱退ですよ。元よりフォーマットは
浅野は「足りんな」と不満げな顔をする。
「…思い切り無駄な拠出金だったからな。まあ、外付き合いと国際アピールとしては必要な事だったんだが」
「そこら辺、国民は分かってくれませんからね…また会見ですか?」
「これに関しては急ぐ必要も無いだろ。情報を集められるだけ集めてこちらの対応をすぐに固め…」
言葉を途中で止め、大きくため息を吐いた。
対数時間前に秘書と事務方の一人が倒れ、救急搬送されたばかりだった事を思いだしたのだ。
戦場での戦線離脱は痛い。
ただ、連日1日20時間近く働いている2人…正確には3人だが、彼等はそれだけ働いているにもかかわらず周りが耐えられずにダウンしていっているのだった。
……原因が何なのかは本人達は分かっているが。
「事務方が欲しい…切実に思います。回りに6名、各省庁に若干名」
「俺だってどこか在野に有能で野心のない能吏がいたら給料とは別にポケットマネー渡してでも引っ張りてぇよ」
「人材募集を掛けて変なモノに来られても困りますしね」
「今官僚の若手の中でまとも連中は本当に数える程度しか居ないからな…5~7年前が黄金期だったな。あの頃の連中が今の日本を支えていると言っても良い位だぞ」
資料と読みながら息を吐く2人。
「…おい、こりゃ何だ?」
「何ですか?」
「この本部防衛予算なんてちょっと前にはなかったぞ!?よし、これのことをも含めて突っ込もう。俺らと一緒で叩けばドンドン出てくるな!」
嬉しそうに言う浅野に磯部は何度目かのため息を吐く。
「一緒にしないで下さいよ…」
「お前ン所は離婚したこと位か」
浅野の一言に磯部は少し動きを止め「そうですねぇ」と疲れた声を出す。
「───まあ、仕事にかまけていたら妻が…というありきたりな事ですが」
「襲撃された際に間男と逢瀬とかなぁ…まあ、この状態では突く馬鹿な記者もいねぇからな。若い奥さん貰うからそうなる」
「およそ20歳の年の差婚と一時は騒がれていたが子どもが誕生するとその騒動も収まったのが懐かしく思い出されます」
「14年前だったか?今子どもは13だったか…奥さんと一緒に出ていったのか?」
「いえ、息子はアレのことを嫌っていましたから…記者も漸く国家存亡の時って理解し始めたのが少しずつ出て来ましたね」
「手遅れどころの問題じゃねぇがな。煽られた連中の問題はまだ火が点いたままなんだが…俺の息子は政治家にはなりたくないらしいが、子や孫、その先々まで国が存続できるよう頑張るのが俺ら政治家の使命だ。俺ァ老害らしく言いたい放題暴れさせてもらうぞ?」
ニヤリと笑う浅野。
「貴方は元々言いたい放題じゃないですか」
苦笑しながらそう返す磯部だった。
───この数分後、2人は再び頭を抱える事態となる。
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