819話 情報検索論→情報サービス論
SIDE:世界
配信で巫女、友紀の言ったレポートを確認した有識者達は愕然となった。
その時期大量に公開されていたレポートは現在の職業やスキルに対して必須の内容となっており、恐らく政府関係者らはそれらを元に部隊再構成等様々な事を行っていた事が窺えた。
そして件のレポートを見て愕然となった理由は───レポートの作成者名が岩崎友紀本人だったのだ。
「巫女様が、既に問題点を挙げていた…確かにこのレポートの時点と今では状況が違いすぎている。しかし参照している論文の思念増幅型に関する武器は現在大々的に案内しているものだぞ!?」
そこから導き出される結論は2つに1つ。
偶然か、それとも…盗用か。
世界は昼夜問わず、荒れに荒れた。
SIDE:協会本部 7:30
「おはようございます」
「岩崎おはよう。朝から大変だったようだな」
課長が心配そうな顔で僕の所までやってきた。
「課長おはようございます。朝からゴメンナサイしちゃいました」
「アレは謝る必要ないと思うぞ?まあそれは良いんだがな、あのレポートの事で中央から問い合わせが何度か来ているんだよ…こちらとしては関係を切ったから知らんと突っぱねたいが、掲載しているレポートの3割がお前さんの物だろ?」
言われて3割以上4割未満くらいかなと頷く。
「あー…権利も何も各大学の研究結果から導き出された答えに注釈つけて各問題点を再提示しただけですよ?」
「…それをするのに何人の研究者が何年掛けて同じ解答を導き出すと思う?」
「?」
ある程度アタリを付けて調べたらすぐ出てくると思うんだけど…アレ?
図書館司書資格の中、情報サービス論でこういった資料関係や情報検索論はしたような?普通、だよね?
情報資源組織論とか結構勉強になるし。
「あっ、これ本気で分かってない…中央や上からの無茶振りに対して出したレポート本数は分かるか?」
「122本です」
「そのレポートという名の論文、もしかして全部覚えているのかな?」
「?覚えてますよ?」
「………参照も?」
「それが分からなかったら大変ですよ…」
一言一句というレベルではないけど、論文時期と大学及び研究機関、名義とだいたいの概要は当然覚えている。あと引用ヶ所について。
「うそぉ…まあ、岩崎だしなぁ…」
課長が頭を抱えているし、巽さんは腕組みしてウンウンと頷いているし…僕、何かおかしいの!?
困惑する僕に課長は息を吐くと一言。
「恐らく午後の配信の際にいちゃもん付けてくる馬鹿が沸いて出てくるはずだ。論破というか、その参照力を使って叩き潰してくれ」
「いや本当に何が起きているんですか!?」
「お前さんが書いていないという疑いが掛かっている。館内防犯カメラにしっかりと映像は映っているから間違いないんだが…と言うかお前さんに悪戯する奴が居ないかという防犯カメラだったが…うん。こういう役に立つのも良いな」
待 っ て?
僕何か悪戯されそうだったの!?そっちの方が心配なんですけど!?
「というか防犯カメラを僕単体を守るために設置ってどういう事ですか!?」
「無論部長承認済みだ!」
皆の過保護っぷりが怖い…それに気付いていない僕は…
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