85話 TS化した僕は平穏な夕食を望む
[巽さん。今日もありがとうございました]
「恐縮です。もし明日、外出予定がありましたらご連絡戴ければ」
[明日は実家に行きますので]
「姫様の、ご自宅訪問…ご家族にご挨拶…」
いや巽さん。何故ゴクリと喉を鳴らす?何か違う意味として捉えてないですかい?
兎も角明日改めて連絡するという事で巽さんと別れ、神域の扉を開ける。
───ほぼ向かいの自宅要らない気がするのですが…気のせいということにしておこう。
「かれえ!カレー!」
出迎えはせお姉様によるカレーコールでした。
[せお姉様]
「ん?なあに?」
[その出迎えだと、帰れと聞こえてしまうので…]
「あ、御免…」
しょぼんとするせお姉様に軽くハグをして中へと入った。
[二人とも今日は護衛ありがとう]
神域に入ったと同時にスッと現れたタイムさんとフィラさんにお礼を言い、リビングへと向かう。
「おかえりー色々話すことはあるけど、食後にね」
ゆる姉様がそう言いながら虚空に浮いたボードに何か書き込んでいる。
「師匠、料理の時間ッスね!」
タイムさんが目を輝かせながら一緒にキッチンへとやってきた。
「私も手伝います」
[フィラさんもありがとうございます。では……今日はみんな大好きカレーを作ります!]
「か・れ・ぇ!か・れ・ぇ!」
せお姉様のテンションが壊れているなぁ…
[なお、今回はカレー粉やスパイスからでは無く、便利なカレーのルゥを使います]
「えーーーっ!?」
[料理初心者がいるのでカレー自体は2種類。甘口と中辛のルゥで作ります]
「無駄に豪華!?全部食べて良いの!?」
[せお姉様。多分食べきれないですよ?寸胴で作りますし]
「えっ?」
[だってルゥ一箱使いますよ?だいたい12杯分くらいかな?]
「たっ、食べ放題!?」
せお姉様のおめめがキラキラと…あれ?この幼女が本体でしたっけ?
[合計24杯分くらいになりますから…一人3杯くらいですか…]
「食べる!」
[いや無茶しないでって。トッピングのこと考えて?]
「あっ!トッピング!!」
せお姉様が何かを思い出したように声を上げ、ビクリとゆる姉様の肩が震えた。
[さて、まず二人には簡単な作り方を説明しようか]
「そこでスルー!?」
[えっと、まず材料からだけど、そっちの甘口には鶏肉を使います。他にはタマネギ、人参、ジャガイモ、あとはカレールゥ甘口ね]
二人とも真剣に説明を聞いている。
[人参とジャガイモは洗った後に皮をむく。そしてだいたい一口大に切れば良いよ。
タマネギは頭と根の部分を切って皮をむいて同じように一口大に切る。
鶏肉も同じようにね!で、鍋にサラダ油を少し引いて熱する。温まったら野菜と肉を全て投入して焦がさないように注意しながら熱し続けてタマネギがアメ色になったら水を入れる。
で、暫く煮込んでいたらアクといって白っぽい濁った泡が出てくるからそれを適度にとって、カレールゥを細かく割って投入。後はひたすら煮込むだけ!]
「「……」」
[まあ、隣で僕も同じ物を作っているし、分からなかったら聞いて?]
「「わかりました」」
さて、クッキングタイムだ!
ご飯は一升炊き炊飯器と元々使っていた炊飯器の両方を使う。
せお姉様が怖いから!本気で食べたら怖いし。
さて、ご飯は準備オッケーだから僕もカレーを作るけど、キッチンスペースが少し狭いから…僕は覚えたての空間操作を使う。
自分の分の鍋をカートの上に置き、その中に洗ったジャガイモと人参を入れる。
そしてそれら二つを空間操作で浮き上がらせて、皮を切断していく。
皮はゴミ箱へinして…ジャガイモは一口大に、人参は…細切りに。そしてタマネギの頭と根を切って、皮をむいて…空間切断でみじん切りにする。
僕のカレーには豚バラ肉を使うけど、更に薄く切って…よし。あとは一度具材を浮かせて…鍋を火に掛けて油を少し投入…あれ?
「…君、昨日空間操作を与えられたんだよね?」
[そうですよ?]
「なんで熟練者以上に難易度高いことやってるの!?しかも料理で!」
[えっ?こっちの方が早くて便利ですよ?イメージで色々補えるみたいですし、今日のあの会場も色々頑張りましたよ?]
「………君も充分過ぎるくらいの規格外だよ…」
ぇえー?…おっと、温まってきたから炒めよう。
[さて、カレー自体は後は煮込むだけの状態だけど…トッピングをどうするかだ!]
「師匠、トッピングとは?」
[食べ物などに追加することで何倍にも美味しくなったり、単一な味にアクセントが付いたりして食べやすくなる。そんなものかな?]
さてさて、せお姉様からの期待が重い。そして週末…作り置きも欲しい…ならば超高速でやらないと!
トッピングは四品6種、ウインナーと目玉焼き、そしてハンバーグとチーズinハンバーグ、ミルフィーユカツとチーズinミルフィーユカツだ。
さあ、一気に作っていくよー!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます