727話 みこさんようちえん


 SIDE:神域マンション


「もぉやですっ!」

 ダンッとジョッキをテーブルに叩きつける。

「あの御方は既に退避しておきながら私達にああしろこうしろと言い、間違えたらこちらのせいと言う…今回も明らかに「はいはいはいはい。お前は疲れているんだよ。飲め飲め葡萄酒が良いか?おねーさーん、葡萄酒とハイボール濃いめ!」ぅう…」

「葡萄酒は大サイズのデキャンタでどうぞ。それとハイボール濃いめと、こちらはオマケのピッツァ・ロマーナよ」

「「!!……ママ!」」

「姉です。あと、私処女神ですのでママと呼ばないでくださいね?」

 客な大天使2名に酒とツマミを運ぶ女神。割とよくある1階食堂の光景だった。


「!?今、食堂で面白いことが起きている気がする!」

 ガバッと起き上がった僕にリムネーがビックリする。

『お父様?』

「…ああ、ごめん。なんか寝ぼけてたみたい。1階食堂で大天使2名が上司の愚痴を言いながらお酒飲んでいるとかね…それを生暖かい目で見ている大使方常連さんや嫦娥様が…解像度高い夢だなぁ」

『お父様、それは現在起きていることでは?』

「かも知れないねぇ…まあ、今食堂行くわけにもいかないけど」

 立ち上がり、軽く背伸びをする。

「リムネーはどうして猫耳修道服なのかな?」

『えっと、以前マイヤお姉様がにゃんこ姿でお父様とじゃれ合ったと伺いまして…』

 あー…うん。あったねぇ…何度か。

『私も、お父様とじゃれ合いたいなぁと思いまして…』

「そっかぁ…じゃあ一緒に踊る?」

『はいっ!』

 凄く嬉しそうな笑顔を向けてくるリムネー。

 巫女にゃんこ奉納歌を歌って踊ろうかなぁ…龍田比売様の所で。

 僕とリムネーは龍神神社へと向かった。



「あの、ジャンヌさん?どうして撮影機材をガッツリ持ってきたんですかねぇ?」

 あと呼んでない…

「何となく撮影しなければ絶対に後悔すると直感がありまして!」

 良い笑顔だなぁ…

『あのお父様。私も巫女服の方が良いのでしょうか』

「そこはリムネーが好きな方で良いよ」

 そう言いながら進む。

『えっと、マイヤお姉様をお呼びしても?』

「?リムネーが良いなら。でもどうしたの?」

『親子で踊りたいので、マイヤお姉様も…と』

 本当にこの子は…独り占め出来ない子なんだなぁ…

 僕はリムネーを後ろからギュッと抱きしめる。

「じゃああとで2人だけで僕が居なかった2日間のことお話聞かせてね?」

『!?っ、はいっ!お父様!』

「うん、良いお返事…ジャンヌさん?どしたの?」

「………いえ、親子のやりとりが尊すぎて直視できなくて…」

 いや、言うほどのものでもないと思うんだけど?

『パパ~リムネー』

 ふよふよとマイヤが飛んできた。

「龍神神社で巫女にゃんこ奉納歌やろう」

『にゃんこ!』

 マイヤは巫女服に猫耳尻尾を装備して踊る気満々だ。

『私も巫女服で行いますにゃん』

 そう言ってリムネーも巫女服へとチェンジした。

 まあ、そうなると僕もだよねぇ…ということで巫女にゃんこに変身。

「くああああああああっっ!巫女にゃんこ神に感謝!」

 いや、ジャンヌさん。そんな不可思議な神様はいないと思うんだ、僕。


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