805話 お姫様抱っこと防衛と
そもそも何故そんな事になったのかから知りたいんだけど、そんな余裕はない。
まずは補充、それが先だ!
「ちーくん!僕を連れて大至急審議の石板まで」
「うんっ!」
ちーくんはそう言うと元の白獅子の姿に…は戻らず、僕をお姫様抱っこして駆け出した。
「ちょ」
慌てる僕をそのままにちーくんは外へと出て、空を翔た。
「ふわぁ~~~~~」
怖い!けどちーくんがガッチリ掴んでいるから多分大丈夫!
審議の石板があるであろう方向目掛けて空を翔る。
神聖結晶使ったら絶対問題起きそうだなぁ…どうしよう。
【ゆる:今中務省の式神経由で説得交渉しているけど、思いっきり内輪もめの結果だよ!アイツらそういった事はよそでやって欲しいんだけど!?】
なん、だと…?
ま、まあともかく、結界の強化は必要ですし?周りから余剰分を回していると思うけど実際問題余剰分なんてそんなにないと思うし。兎も角到着までに考えなき───
「おりるの」
「ぅえ?っきゃああああああわわわわ!」
僕は考える暇すらなく審議の石板前に到着した。
SIDE:審議の石板前
「ああああああわわわわ!」
そんな悲鳴と共に空から幼い子どもと巫女様が降ってきた。
地上1メートルで物理に反するようにスッと速度を落とし地面に立つ幼子。
そしてその幼子に抱きかかえられた状態で「怖かった…」と呟く巫女様に周りは騒然とした。
ただ、その中で石板周辺の警備をしていた俺ら2人がすぐに動き出した。
「二階!」
「おうさ!緊急事態なので審議の石板周辺を空けてください!」
「巫女様は現在緊急救援活動中です!作業の邪魔にならないよう離れてください!」
俺らの整理と利用者の協力の元、石板周辺は完全な空白地帯となった。
「ご協力ありがとうございます」
巫女様は周囲の人にお辞儀をしながら石板へと向かい、手前で動きを止めた。
「フィラさん。ゲートを」
「畏まりました」
影からスーツ姿の女性が姿を現し、白銀の姿見のような何かを創り出す。
「白城さん」
巫女様が声を掛けるとその白銀の姿見から軍人と思しき人が十数名姿を現した。
「1拠点防衛人材を用意致しました」
白城と呼ばれた女性が敬礼をする。
「僕が対応している間に来ると思うから…お願いね?」
「畏まりました」
全員が分かっているように周辺に展開し武装を展開する。
「ちーくん」
巫女様が幼子に声を掛けるとトトトと小走りで駆け寄ってきた。
「なあに?」
「時空関係来たら白城さんに一報お願いね」
「うん!」
石板の前に巫女様が立つ。
「うわ、残2%!?スロットは…3つ?えっ?カードスリットまであるの?」
何か戸惑っているような素振りをしていた巫女様だったが、やがて一枚のカードを取り出しそれをカードスリットへ通した。
直後、
「きた!」
ちーくんと呼ばれた幼子が大声を出し、軍人達が動いた。
ガッ、ガガガガガガガガガガガガガガ…
何もなかった空間が裂け、中から無数の目玉の付いた触手が飛び出し、軍人達の盾と障壁に阻まれる。
そんな中、巫女様は石板上に浮かんだ幾つものパネルを操作する。
「フィラさん、次元断層結界って僕たちの移動に影響しますか?」
「基本一度上に上がってから降りるので問題無いですよ」
「なら許可しておくかな…オッケー60%分はカード払いで…出力」
その台詞の直後、裂けていた空間がグシャリと言う音と共に消滅した。
「……うん。消費は1割増しだけど効果は間違いないようだね…皆様、僕の方で多少は補填させて戴きましたので後はよろしくお願い致します」
巫女様はペコリと頭を下げると軍人達の用意した軍用車両に乗り込み、颯爽とその場を後にした。
「……マジで数分で全てを終わらせるんだな。巫女様」
「巫女様近くで見たけど、なんであんなに可愛いんだ?なんで男なんだ?可愛くて優しくてお得過ぎんか?」
「…二階?おい?」
相方の何かを犠牲に結界はなんとか守られたようだ。
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