806話 いじめられっ子の暴発。誰が悪い?


 キュクロープスの元へ直接行くことを考えたけど、周りに「めっ!」って言われたので諦めて協会に戻ることにした。

 戻ったらすぐに課長が「神様方に確認をして貰ってその状況を配信を通して教えて欲しい」と言われたのでマンションへと戻る事になった。

 直帰連絡してそのまま帰るという横着ができなかった僕を笑うがいいさ!


「ぇえー?」

「今回これでキュクロープスを罰するというのは…ねぇ?」

「むしろそんな長い間苛め…というにはエグすぎるが、それをしていた奴と知っていて放置していた奴等を罰するべきだとは思うぞ?

 でなければダンジョン勢に取り込まれる神々が増える。罰するにしてもその前にすべき事があるだろう」

「………はぁ(くそデカため息)」

 ゆる姉様が頭を抱え、ミツルギ姉様が憤然たる面持ちで言い、せお姉様がちょっと切れ気味のため息を吐いた。

「アポロン最低過ぎる…」

「ほぼ全身傷だらけの一つ目巨人が半狂乱で結界を雷霆で叩いたら保たないよ…残量元々20切ってたからねぇ」

「いや、その20でアレの乱打を耐えきったってどうなんだ?」

「神の雷霆×巨人の全力振り下ろし=想定の二乗倍ダメージ?」

「いやさすがに二乗倍は…無いよな?」

「せいぜい15~6倍ですね」

 いやそれ致命傷ですよね!?

 とりあえず説得は成功し、神国内の衛星島で休んでもらうこととなった。

 そしてどう伝えるかで問題が発生。

「どう伝えても角が立つ!」

「ですよねぇ…」

「ここは専門家をお呼びするのは?」

 僕がそう提案をする。

「専門家?」

「ある意味最強で角が立ったとしてもそれを捏ねて丸く出来る神様です」

「「「?」」」

 えっ?なんで皆首かしげるの?

「ウェスタ様ですよ!?」

「「!?」」

「あー………うん。食堂のチーフという意識しか無くなっていた」

 せお姉様…

 それはちょっと酷くない?というか可哀相じゃないですかね?

「あっ、そう言えばこの前ゼウス神をボコっていたね!」

 えっ?

「あー…どうしよう。ウェスタに任せたら完全にいきそうな気がする」

「では呼んで確認しましょう」

 ミツルギ姉様がウェスタ様を呼び出した。

「何かありましたか?」

「済みませんウェスタ様…今とんでもないトラブルが起きていまして」

 僕たちはキュクロープスの現状とこれから、そして世界への説明配信についてウェスタ様に説明をした。

 あっ、すっごい怒ってる…

「まだそんな事を…しかも陰湿化と深刻化していたのに周りは見て見ぬ振りを…」

 暫く考える素振りをしていたウェスタ様だったけど、何か自分の中で決めたのか深く頷いた。

「分かりました。ゼウス神とアポローン神を呼び、公開説教をしましょう」

「「「……はい?」」」

「ああ、そうきたかぁ…」

 何言ってるの?というゆる姉様方だけど、僕はちょっと「ああやっぱり」と思った。

「馬鹿とサイコパスは一度しっかりと締めなければならないと今更ながら後悔しています。今回は過去のやらかし含め徹底的に糾弾をします」

 そう言って微笑むウェスタ様。ただ、目が全く笑っていないどころか眼力が凄かった…獲物を狙う狩人の目だよあれ。


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