926話 ライブ、やってます(現在死傷者無し)


 3曲終わって次行こうかなと思ったら会場死屍累々だった件について。

 泣いていたり謝罪していたり感謝していたり…忙しないな!

「これ、本当にセット以外の音響、照明関連をこの配信システムでやっていなかったらライブ出来なかった可能性ある?」

「ありますよ~?この配信機器のおかげで他の会場でも超立体映像がこの会場と全く同じ音と映像が流れるわけですから」

 舞台演出は幻術系だから同じく配信システムだし、曲の調整も…

「もしかしてこの配信機器が一番のチート?」

「ですねぇ…舞台さえ用意できればあとはこの配信機が5台あれば基本OKですし。ただ、今回は更にクリアな配信を心がけて9台使っていますけどね~」

「ふーん…技術的なことは分からないけど、凄いことだけは分かった。次の歌いっても良いかな?」


 4曲目の曲は感謝の曲。

 ゴスペル調な出だしから突如激しいゴシックメタルへと変わる。

 今世界で起きている混乱、動乱、闘い、嘆きを訴える悲痛な叫びが貴方には聞こえますか?

 それらは救いを求め、癒しを求めて手を伸ばす。

 曲調が荘厳なゴスペル調へと戻ると同時に僕の衣装を修道服へとチェンジする。

 守るために戦ってくれた方々に感謝を、手を差し伸べて下さった方に感謝を。

 助けたいのに助けられなかったと嘆き苦しむ貴方にも感謝を。

 その気持ちだけでも魂は救われます。

 今を必死に生きている方々に感謝を。

 貴方がたが日常を守っているからこそ戦える人々がいるのです。

 自然と共にある者達に感謝を。

 その助力によって世界は陥落せずにいられるのです。

 そんな内容の歌を、オペラ歌手のように…何故かソプラノで歌う。

 僕男だが?男なんだが?男なんですが!?

 意識の端でそう叫びながらも祈り、歌い、そしてAa~とどこかの女神な異聞録1などの鼻長さんの所で歌ってそうな感じで2分ほどブレス数度で乗り切った。


 さて次───

 5曲目は精根尽き果てて絶望している人への歌。

 正直に言って良い?

 巽さんがリクエストした曲の下位互換的というか、ライトな甘やかしソングだよ?

 ただし、女性が女性を甘やかす感じ。

 内容は細かく説明しないけど、1番2番3番と扱うジャンルが違う。

 失い絶望している者に寄り添う歌、今まさに全てを失いそうな者に寄り添う歌、いつか希望をチャンスを求め立ち上がる貴方になって欲しいと囁く歌。

 歌い終えて次の歌歌いたくないなぁなんて思いながら会場の様子を…

「あれ?みなさーん?」

 あの、特別席含めほぼ全員膝を突いて両手を組んでいるんですけど…何ですかね?この状態。


『お父様、4曲目の時点でこんな感じでしたよ?』

「えっ?」

『だから5曲目行く前にお歌止めるのかな~って思ったら歌い出したからマイヤビックリしちゃった』

「…そっかぁ…うん。5分休憩しよっか!」

『皆さーん!水分補給等はお早めに~次は元気な曲ですので少し体を解しておいて下さいね~』

 リムネーが歌のお姉さんみたいに声を掛けると回復したと思しき方々から「はーい!」と返されていた。

 声がした方の殆ど、神様方の居る所ですけどね!


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