927話 ライブ中。死傷者無し(大悟や再誕騒ぎはカウントしない)
さて、僕も覚悟を決めるか…
役になりきる。そうしないとぜっっっったいに僕の心が保たない。
意識レベルを落とし役作りをする。疑似人格手前で止める。
「みんな~!励ましの応援歌いっくよ~☆」
ナース服にチェンジして6曲目のセイクリッド☆ナースを歌い始めた。
「い・や・しの巫女に?」
僕はなる~!
会場にコーラスが響く。
「君達は~?」
ナース!
「僕たちも~?」
ナース!
ハイテンションでペンライトを振る観客。
リムネーが前に出てパフォーマンスをする。
『お・い・た・を・す・る・子・は?』
おちゅーしゃですっ!
リムネーからバトンタッチするようにマイヤが前に出る。
『わっるいよーまも?』
おちゅーしゃですっ!
「ゴッド先生処置おねがーい!切除確認!その後は?…癒やしちゃうぞ☆」
歌が終わり、元の自分に戻る。
会場が熱狂している。
そんな中、僕は少し引きつった笑みで「ハハッ」っとしか言えない。
早く終わらせたい…
癒やされたい。めっちゃ癒やされたい。
僕の頭の中はそれしか無かった。
次の曲は…課長のリクエストかぁ。
元々女性化した状態で歌うことを想定されて作られた曲だけど、課長のリクエストだし。
ちょっと声を低めにして、あの時課長に聞いて貰ったものとは違う感じで歌う。
「昨夜降ってた雨は、跡も無くなっていて…」
課長の方を向いて歌い出す。
お疲れ様、愛しい人。
僕のこの膝に頭を乗せて、目を瞑ればあなたは僕しか感じられなくなるから。
眠りなさい愛しい人。
あなたは頑張ってくれたから───
と、無茶苦茶甘やかす内容と言いますか膝枕ヨシヨシの次は抱きしめて添い寝をするという内容なんですわ。
課長、貴女疲れてるのよ(真顔)。
脳内で分割思考をしながら歌っているから良いけどさぁ…視線は課長に固定しながらというおまけ付き。
…あれ?課長、顔真っ赤で目が潤んでませんか?
なんか「はわっ、はわわ!」って凄く焦っているような?
まあ歌いきりますけどね!
「次の曲───」
「兄さんちょい待ち!…観客が色々耐えきれないから!20分…いや、10分休憩させてあげて!?」
佑那に必死の形相で止められた。
えっ?なんで?
「マジか…マジで兄さん理解してない…う~~~…えっと、水をたくさん飲んだからトイレとかね!?」
「あ、えっ?でもそんなにすぐ?」
「人による。ご年配の方とかも居るからね!?」
「あっ、そっか…えっと、じゃあ10分休憩という事で皆さん大丈夫ですか?」
全員が何度もコクコク頷く。
「じゃあ10分休憩という事で」
僕がそう言うと皆さん小走りで会場から出て行った。
いやいや、そんなにトイレはないと思うんだけどなぁ?
「とりあえず会場から出て心を落ち着かせようって人が9割よねぇ…うん。気持ち分かる分かる」
「佑那さん?その気持ちを後ほど四百字原稿用紙にまとめて書いて提出してね?」
「何で!?」
「口頭でも良いよ?」
「えっとぉ…………うん。後で書いて提出するね。ここに居るみんなが犠牲になる必要は無いと思うし」
なんの犠牲なのさ。
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