925話 ライブスタート。そして即事故
兄さん、事件です。
予想外な事ってあると思うんですけど…ライブ開始1曲目でトラブル発生です。
「もうむり…マジしんどい…尊い…生マイヤちゃんのわちゃわちゃダンスと巫女様の衣装と笑顔、お歌…生きてて良かった…」
「リハーサルとの圧倒的差が…っ!」
「尊い尊い尊い尊い尊い尊い尊い尊い尊い尊い尊い尊い尊い尊い尊い尊い尊い尊い」
なんか、膝を突いて鼻から血を流し祈っている人が沢山いるのですが?
会場内、空間拡張していて良かったぁ…
「えっと、皆さん…大丈夫ですか?次行きます?それともちょっと休みます?」
『ゴメン、ちょっと休ませて…』
ライブ参加者どころか視聴者含めた全ての者達が同時にそう言ってきた。
1曲目の『あにまるDE音頭』スタートしたら初っ端から観客&視聴者が事故ってしまった。
僕とマイヤとリムネーがメインで踊り、その後ろで佑那、ラヴィお姉さん、廣瀬お姉さんが踊るという感じ。
僕はねこさんで、マイヤが犬さん。
リムネーはバニーさんなのに…僕とマイヤへの声援が恐ろしかった。
5分間だけ休憩という事で僕はステージでのんびりおしゃべりをする。
「マイヤもリムネーも今のお歌どうだった?」
『いぬさん音頭もねこさん音頭も、うさぎさん音頭もかわいくて楽しかった!』
『可愛いお父様とお姉様を見る事が出来て幸せでした!』
あー…うん。リムネーがブレない。
何でこんなにも好き好きが過ぎるんだろうか…あ、でも反抗期が来たら僕泣いちゃうかも…
「皆さん落ち着きましたか?次の曲いっても…って、なんで皆さん胸を押さえているんですかねぇ?」
『お三方の会話が尊すぎるんよ』
『マイヤちゃんの笑顔で被弾』
『リムネーさんの愛が凄くて』
『巫女様の2人に向ける眼差しが…』
なんか僕らのせいなの!?喋るだけでそれっておかしくないかなぁ!?
「とりあえず2曲目のロックナンバーと3曲目の静かな歌は続けていきますので宜しくお願いしますね!」
そしてライブは再開する。
2曲目を歌うために意識レベルを少し下げ、その人の気持ちになりきる。
自分だけが不幸で取り残されている気がするこの気持ちを知って欲しい。
分かっている、自分だけが不幸なわけでは無いと。
自分のエゴで辛さを見せていないせいでみんなが気付かないって事も知っている。
でも知って欲しい。分かって欲しい。
慟哭と哀願を隠してやせ我慢するこの気持ちを歌にして、踊りにする。
そんな内容なのにロック調ナンバーで踊りってどうなんだと思ったけれど、全てで表現したかったんだろうなと意識の端で思った。
最愛の人との別れ、家族との死別、この先への不安、現状の不安…
この歌には様々な不安がぶちまけられているけれど、それを堪えて呑み込む。
歌の最後にスーツ姿へと変身し、背中を向けて半身だけ振り返り、照明が落ちる。
そして3曲目へと続く。
バラードのような曲で僕はほぼ踊らないけれど、他のみんながダンスをする。
亡き人への
そしてこの時のダンスは…社交ダンスなんだ。だから僕以外はドレス姿。
さて、意識を歌に集中させよう。
今まで一緒だった君が居ないと気付いた。
健やかなるときも、病めるときも、怒ったときも泣いたときも。
そんな存在の欠落は耐えられない。
何をしたら君は怒ってくれるのか。そんな事ばかり考えている。
叫び声を上げれば良いのか?プレゼントを贈れば?
言いたいことがあったのに、伝え切れなかった想いがあったんだ…
──と、ここまでが一番の内容。
苦しくて変わらない思い出を探していたら、君に怒られたことを思いだした。
落ち込んでいるときに怒られて、ただ進めと励まされたことも思いだした。
変わらないモノは無いって、転がるだけではダメだって。
進め、歩け、走れ、転がれと言うのはできるけど、君は独りじゃないんだから、転がるときは巻き込んでくれ。そして石は岩になって原石は宝石を宿すんだから。
立ち止まるのは後で良い。
それに君が何を思おうと立ち止まっていると思っていても君は動いているんだ。
流れの先は同じでも、動けばほんの少し変えられる。
君が渡してくれた欠けたアメジストの原石を、今この手に握りしめている。
───これが二番の内容。
暗いな!途中ちょっと思考が跳んでるんですけど!?
脳内で励まされている感出しても普通に歌ったら無理だけど!?
でもこれまだ軽い方だよ?5曲目はダークからのスタートだよ?
だから思い出を大切にしつつ前に向こうといったニュアンスを声に込めて歌う。
歌詞改変?してませんよ?
解釈に関して書かれていなかったので僕はこう思いました!って事で。
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