553話 それからと、これから
おはようございます。友紀です。
いやおはようじゃないが?
意識は覚醒して………いるのかな?
まあ、僕がこうして独り言を言っている時点で覚醒していると言っても良いと思いますが。
ただ、体が、目を、覚ましませんっ!
マズイマズイマズイマズイ!
神様方に怒られちゃう!ご飯も作らないと!お仕事も!
ソレよりも何よりも…生理現象が、凄く、恥ずかしい…!
「覚醒したか。肉体に定着するまでもう暫く時間が掛かる。その間で言い訳を考えておけよ?」
───えっ?
そこで兄さんが側に居ることに気付いた。
───僕、見えてるの?えっ?僕今霊体?
「霊体ではない。魂に直接声を掛けているんだ。ああ、下の世話は俺がやっている。安心しろ」
───それはそれで恥ずかしいですっ!
僕分かったよ。
この状態だとミツルギ姉様でも認識できない。
これはどういう事なんだろうか。
魂魄の魂の状態ではないのかな?
兄さんが説明するまでは憔悴しきった顔のミツルギ姉様が…なんかとても申し訳ないです。
「ゆーくん…早く目を覚ましてよ…もう5日も経っているんですよ?」
───何ですと?5日?無断欠勤5日!?
「安心しろ。きちんと連絡している。無断欠勤にはなっていない…が、かなりの人間が巫女ロス禁断症状を発症しているぞ?」
苦笑しながらそう言う兄さん。
「───本当に、会話をしているの…?」
───なんか、兄さん疑われてる!?あっ、あの島はどうなっているんですか?
「島のことを聞いているが?」
「えっ?ああ、今それどころじゃなくなっているのよ?どうしてこのタイミングでやらかすの?」
───え?何事?なんか怖いんですけど!?
───にーさん教えてニーさんっ!
「なんか懐かしい言い方だなぁ…入院以前はにぃにだったが…」
───にぃにの方が、良い?
「呼びやすい方で良いぞ。さて、現状の説明だが、お前がこんな状態になって4日と20時間が経過している。現在箱庭陣営でダウンしているのはお前と佑那、あとはお前のダウンのせいであの緑の民がノイローゼ手前になっているぞ?」
───何ですって!?
「何度問題無いと言っても聞きやしない…まあ、ソレはそこのミツルギ含め3柱…石長比売、アディエーナ達もそうだが」
───多方面に迷惑掛けて申し訳ありませんっ!
「まあ、お前の念願だったからな…それは良いとして、神々はお前がダウンしたと分かった時点から大パニックだ。ある意味人以上にお前を重要視していたぞ。特に本部と本邸だが……お前を安全な所で守るとか言い出してここに来ようとしていたから本部の方で全員ぶん殴って正気に戻した」
───…………にぃに、ソレ大丈夫?なんか、ミツルギ姉様が「えっ?それ私聞いてないんですけど」って聞こえたんだけど…
「問題無い。人の家族を本人の意思を無視して勝手に連れ去ろうとしたんだからな。文句があるなら俺を制圧しろと言いたい」
───あ、これ本気で殺しに掛かってきたパターンだ…
「スキルや職業なんざ何年前に超越したんだという話なんだが…これだから神や神族は進歩しないんだ。封じて勝った気でいたからな」
───そう言えば兄さんダンジョンでそんな目にあったって言ってたよね。
「ああ。スキルを封じる程度のものなら幾つかあるが…職業や権能封じは神々が先なのかダンジョンが先なのか…本部で疑似破界の檻を展開したらガチ泣きされたが」
───あれ疑似でも再現できるものじゃないよね!?スキルも全部封印されて出来るものなの!?
「できたぞ?…話を戻すが、世界中のダンジョンの半分はダンジョン返しをしたもののこちらの攻撃によって神々が掌握。残り半分はギリギリ何とか封印できている」
───とんでもない事が起きていた!?
「ああ。そして原初のダンジョンは…阿呆が『一度やってみたかった』らしく、聖極光子砲で深淵まで一息で貫き…現在全次元で恐らく唯一の完全なプライベートダンジョンとなっている」
───………誰の?
「俺の」
───……にぃになにやってるのっっ!!?」
『あっ…』
「おはよう、友紀」
「……えー?こんな目覚め、ありなの?」
「らしくて良いじゃないか」
にんまりと笑うにぃにに僕は抱きついた。
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