61話 TS化した僕は兄妹を見送り…きれない!?

 せお姉様を休ませようとしたら「だいじょぶ。もう少しこのまま」と言われたのでそのままにしておく。

「そろそろ時間も時間だ。我々は…」

[あ、兄さん達を見送ってきますね]

 僕は二人を見送るために部屋を出ようと───

「あ、今日はもう大丈夫だから。さっきの情報で似たような事していないかこちらも色々動かなきゃいけないし」

 ゆる姉様がそう言ってきたので僕は頷く。

[おやすみなさい。姉さん]

「うんっ!おやすみ」

「「私は!?」」

[伊邪那美お母さん、ミツルギ姉様。おやすみなさい]

「お休み。しっかり疲れを取るんだよ?」

「お休み。気を付けてね」

 三神に見送られて僕は扉を閉めた。

「友紀。少し良いか?」

[?兄さん?]

 エントランスまで降りて見送りをする僕に兄さんが少し険しい顔で声を掛けてきた。

「最後の悪魔召喚の件だが、かなり不味い事が分かった」

 えっ?

「どうも神や天使の降臨は流石に無理だろうという事でオカルト一派と手を組んだ探索者連中が計画した一件なんだが…複数箇所で同時にやる計画らしい」

 これ、対処不可案件じゃあ…

「それに一部行政も関わっているらしい」

[あ、オワタ…避難勧告とかは…無理だよね…]

 行政のやらかしがリカバリー不可レベルって笑えないよ!?

「だろうな。一応知人には職業の祝福やスキルを司る神からの警告という形で連絡を入れたが…更に厄介な事がなぁ」

[更に何かあるの!?]

「…日本政府。神の存在を各国に連絡していないらしいぞ。ソイツは中枢に近い人間らしいが、情報はまわってきていないと慌てていた」

[あー…政治的アドバンテージ取りたかったのか、時間が無かったのか…って馬鹿なの?!?]

「もしかすると「うちの神様の事で他所の国はちょっと分からないからきっかけ出来るまで黙っていよう」って感じでは?」

 佑那の言葉に思わず納得してしまう。

 多神教の神が居て一神教の神が居ないわけがない。下手すると争っていると思って言わない…なんて事も…?

[…そんな気がしてきた。いやでも、あの騒動は国内にいる外交官含めた外国の方も神託受けているよね?]

「受けているだろうが、それを正直に報告して正気を疑われないか?」

「恐らく、各国外交官間で情報の擦り合わせを行って報告するという流れを取るかと思いますので…タイミングから見て、今頃では?」

[あと、怖い事想像したんだけど…]

「なんだ?」

[一神教の神様に限らず、思いそうな事なんだけど、「我等神の事を信じず悪魔を信じる貴様等に加護はやらぬ!」って怒りそう…]

「「あー………」」

 僕の台詞に二人は納得した顔の後、

「マズいな」

「かなり、マズイですね」

 二人とも頷いた。

 神様の降臨は恐れ多かったので過去のトンデモ文献か事実かは分からないけど悪魔召喚はあるからやってみただけですって言ったら少しは納得してくれるかな…

「怒りゲージ一本分はおさまるのでは無いでしょうか」

「ゲージて。まあ、上の階の神様方からそんな話はあちらにいっていないだろうしな」

 ───交信できるか分からないけど、やってみようかな…

「友紀?」

[二人とも、少し時間良い?]

「何をするつもりだ?」

[ちょっと、今朝連絡があった恐らくあちら側の神様?に祈りを届けたいんだけど]

「その間の護衛なら任せろ」

「あ、じゃあ私はあちらのコンシェルジュの方に少し場所を借りる旨伝えてきます」

 うちの兄妹が頼もしい。

 ───念のため、巽さんにも連絡…というか新しい機能のメッセージを使おう。

 手早く内容をまとめて巽さんへ送信した後に修道服へとチェンジする。

「姉さん。あまり邪魔にならないよ…ふわぁぁぁ!」

 佑那のテンションが凄い事になってませんか?

「こんな姉さんが欲しかった!」

 えっ?兄さんな僕ら、要らない子だった説浮上!?


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る