291話 2dayPM6~栗と帰宅と夕飯(後半戦)
「一応言っておきますけど、この栗は特殊な栗ですけど体に悪くはないですからね!?」
「特殊な栗なのか?」
「はい。神域の更に特殊な所で取れる稀少品です」
「「「!?」」」
「あと、効能的には血行をよくして肌つやとかくすみの改善、老化防止と白髪を抑える働き…まあ、栗の漢方学で言う効果の強化版です」
「「「!!!!」」」
皆さんの目がクワッッ!と見開いてモンブランを見る。
僕はもう作らないので勘弁してください。
甘露煮はまだありますけどね。作りませんよ!?
部長達が帰るとすぐに部屋の隅から邪幼女神様が顔を出した。
「夕飯?」
「はい。お夕飯をすぐ出しますので皆さんを呼んできて戴いても?」
「うん。呼ぶ」
そう言って邪幼女神様はフロアに向かう。呼ぶのはゆる姉様とせお姉様のようだ。
───まあ、あのお二方を呼べば皆呼んでもらえると分かっているからでしょうけど。
実際すぐに皆を呼んで姿を現した。
「今日のお夕飯は!?」
「豪華で質素な物にしました」
「……豪華で質素とは」
「あー…うん。確かに豪華だけど質素だわ」
「美味しそう」
まあ、そこそこ好評みたいで良かったです。ただ、1階組と伊邪那美お母さんが来ていない。
「ええっと、1階組は分かりますが、伊邪那美お母さんは…」
「んー?…1階に居るよ」
……ではこれは隔離しておきますか。
ロアステーアさんと来ていない神様方の料理は空間操作で隔離しておく。
「どうぞお召し上がりください」
『いただきます!』
いつもより少し静かな食事が始まった。といってもワイワイしているけど。
食事が終わり、片付けを終えた僕はさてどうしようかと考える。
ゆる姉様とせお姉様は再び配信に行ってしまったし、邪幼女神様はタイムさんが部屋に連れて行ってしまった。
他の神様方は忙しいらしくすぐに居なくなってしまった。
うーん…シフォンケーキは焼き上がった状態で確保しているし、あと作るとしたらクッキーとエクレア、シュークリームくらいか…
皆が食べ終わらないと僕の神域に行けないなぁ…
そんな事を思いながら料理手帳を開く。
キノコinハンバーグとかロールキャベツとか、少し時間の掛かるモノを作り置きするのも手かなぁ…それならミートソースと麻婆の作り置きも出来るか。ハンバーグベースがあればこの四種類は比較的簡単だし。
チラリと食料庫の方を見る。
何かあるかなぁ?増えているだろうけど。めっっっちゃ増えているだろうけど!
「………」
穀物、野菜室は種類も量も増えていた。
そして肉は…何故か牛肉と豚肉があった。
更に更に、調味料には…カカオ豆とカカオニブがあった。
なんで?ねえ、何で?しかも100キロ以上あるの。何で?
わざわざ加工までされているのに最終加工は?僕がやるの?
チョコレート制作かぁ…限りないんだろうなぁ…
流石にそこから作るなんて考えていなかったので工程に関してはあまり覚えていない。
ソッと見なかったことにしてキッチンに戻る。
あ、みんな帰ってきてる。
「お疲れ様です」
「───うん。疲れました」
うわぁ…
「皆と夕食が食べられませんでした」
「我が子との団欒が…」
全員が口々に言い出す前に隔離解除をする。
「どうぞ召し上がれ」
『いただきます』
全員の声がハモり、夕食(第二部)が始まった。
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