296話 3day PM~準備と温度差ァ!

 不思議な事がある。

 ロアステーアさん、食堂で働いているのにどうしてお昼ここに来るのだろうか。

「食堂で食べても良くない?」

「良くないですよ!?友紀様のお食事を優先にするのは当然じゃないですか!」

 何故に?

 神様方の食事が終わり、片付けをタイムさん達に任せて箱庭神域へ。

 今日の夕ご飯は麻婆豆腐、エビチリ、青椒肉絲、蛋花湯、炒飯だ。

 炒飯と青椒肉絲、蛋花湯は先に作れるな…よし、一気に作っちゃうぞ!

 ……ってストップ!

 卵がうちの物しか無い!危ない!

 佑那なら兎も角、他の人はどんなとんでもない事になるのか分からない。

「タイムさん!お使いお願いしても良い?」

「何を買ってきたら良いんスか?」

「卵一パックと、カニカマ20袋」

「カニカマ?」

「うん。お店の人にそう言ったら分かるから。たぶん120~130gのものがあると思うから、それを20袋。なければ他のカニカマと合わせて2キロから2.5キロ分ってお店の人に言って?」

「了解ッス!」

 僕から財布を受け取って姿を消した。

 よし。今のうちにご飯を追加で炊こう。



 SIDE:世界



 軍事同盟を一方的に破棄し、人民解放軍が突如として侵攻を始めたとの知らせに世界は驚きはしたものの「やはりか」という心持ちだった。

 合衆国同様に神敵判定を受け本能的に忌避されていたためであり、恐らくはやらかすだろうと隣接していた国は警戒を強めていた。

 しかし突然の奇襲。そして───二面戦争が始まっていた。

「連邦軍まで!?二カ国同時は無理だ!緊急連絡を!」

「今やっている!」

「連邦陸軍の戦車部隊が来たぞ!」

「くそっ!早朝にミサイル降らされたせいでこっちはほぼ全滅なのに…」

「…なあ、おかしくないか?」

「何がだよ!」

「攻撃が、止んでる」

「……本当だっておい!?」

「退避!奴等ここで戦うつもりだぞ!?」

「巫山戯るな!自国の方でやれよな!?」

 人民軍が慌てて撤退する中、人民解放軍と連邦陸軍が狂ったようにノーガードの戦闘を始めた。


「───分かりました。情報提供ありがとうございます」

「どうした?」

「先程連邦軍と人民解放軍が戦闘を開始したそうです」

「はぁ?」

「現在互いに双方ノーガードで攻撃を行っているようです」

「これが、神敵と認定された結果なのか…」

「恐ろしいですね」

「我々もその神敵の手前だそうだが…」

「恐らくは官邸側が再度記者会見をすると思いますが…」

「問題は国民が巫女様に対する恐怖を覚えていなければ良いが」

「…無理でしょうね」

「仕掛けたのはこちらなのにな。理不尽なことだ」

「しかも必死に抑えて戴いたおかげで神敵とならずに済んでいるのにもかかわらず、ですから」

「やるせないよなぁ…」

「報告です!人民解放軍と連邦陸軍が本格的な戦闘を始めました!」

「一大戦争となられたら事だぞ…核を使われるかも知れない」

「……もし」

「うん?」

「もし、核を使わせることが神の狙いだとしたら…」

「我々は恩人に唾を吐きかけるようなことも、意味も無く恐れるようなこともしてはいけない。違うか?」

「……はい」

「引き続き情報収集に努めてくれ」


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