1012話 邪神様漫遊記(先代巫女の悪口絶対許さないウーマン)①
SIDE:買物組
「…まさかの成人女性スタイルですか」
佑那は幼女姿ではないハヴァスターイを見て少し顔を引きつらせる。
「なんか、オーラというか、王ー羅でてません?あれ」
「あれ言わない…。それにあの力だと本当なら一息でこの世界どうにか出来そうなくらいの差があるんだけど」
表情筋を一切動かさずにメイドの四谷が不敬発言をするのを佑那は内心ヒヤヒヤしながら答えた。
「いやぁ…
「ひっ!?今グリンって凄い勢いでこっち見た!?」
「はははは…メイド如きの言葉に反応するとは…どんだけマイヤ様好きなんですか」
ナチュラルに不敬発言をする駄メイド四谷すら冷や汗を垂らすハヴァスターイの反応に全員が「あっ、これヤンデレになってる」と心で呟いた。
ハヴァスターイが歩く後ろを全員がついて歩く。
「ハヴァスターイ様、どちらに行かれるのでしょうか?」
「…東京駅と、アメ横」
「でしたら車もしくは電車で行った方が良いと思いますよ?」
「でも、そしたらお菓子買うお金が減る」
四谷の提案にハヴァスターイは少し表情を曇らせる。
「ご主人様からは予算15万円渡されていまして…それとは別に5万円ほど追加で渡されておりますので交通費と食費ではないかと」
「あ、それなら私もみんなで外食したら?ってお金渡されたんだけど…」
「あっ、私もお小遣い貰いました!」
「「食堂のアルバイト代を戴きました」」
「私も、気になるものがあれば買うようにと…お金を渡された」
次々と挙手をし、お金を受け取ったと言い出し、その度に四谷がビクリ、ビクリと震えた。
そして全員がハヴァスターイを見る。
「えっと…私も」
そう言ってハヴァスターイは可愛いお財布を取り出してみんなに見せ、
「私の…っ、信頼度…ゼロっ!?」
四谷が膝から崩れ落ちた。
7人乗りのワゴンタクシー内で佑那が荒れていた。
「…警察は暇なのかしら?3組も命知らずな馬鹿が居るとは思わなかったわ。まあ、嗾けた奴が居るのは確かだけど!」
佑那は腹立たしそうに身分証をカバンに入れ直しため息を吐く。
「隊長はどうしてそんな身分証を持っているのですか?」
ジャンヌが不思議そうな顔で佑那を見ると佑那は肩をすくめる。
「みんなと一番外出する人間だからよ。磯部さんが渡してくれたんだけど…団体的外交特権って何よ…神国関係者及び探索業務法第4条1項対象者につきこれを確認した時点で確認者に何が起ころうとも日本国は一切関与しないって…」
「殺しのライセンスを得たのですね…おめでとうございます。今夜は雑穀米ですね」
「お赤飯とか白米って言ってくると思ったら…雑穀米」
「美容と健康に良いかと」
「はいはい!アメ横に到着しましたよ!皆さん降りましょう!あっ、運転手さん。1時間後にお願いします!」
「ジャンヌさん…さっきの東京駅からもそうだけど、手慣れすぎてない?」
「コミュニケーションは大切ですよ?」
不思議そうに首をかしげるジャンヌに「まあ、そうだけど…」と少し腑に落ちない顔で佑那は唸った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます