1013話 買うのが駄目なら作れば良いじゃない


 あの後購入するのは頼むから止めてくれとお願いされたので一応頷いた。

 そう。購入するのが駄目なら、作れば良いじゃない。

 補充も出来て高性能な奴を!

 と思ってゆる姉様にアイテムづくりについて聞いたら…

「えっ?ギュッて神力集めて、それに書き込んで形にすれば終わり」

 …駄目だ。ぜんっぜん分からない!


 忙しいミツルギ姉様に泣きつくわけにも行かないし…誰か作れそうな人は…その前に材料は何を用意出来るか確認してない!

 ちょっと気が急いているようだ。

 課長だけではなく部長や巽さん、佑那のものも作らなきゃいけないし…相応の量が必要だよなぁ…一旦箱庭に行こう。

 そう思って箱庭の扉を開けようとして、手が止まった。

 そこには掃除をしているフィウヴェさんが居た。

 フィウヴェさんはあまり外に出せないからなぁ…でも他の人達は外に出ているのに彼女だけずっと室内だと鬱屈としそうだし…

「フィウヴェさん?」

「はい!なんでしょうか!」

「フィウヴェさんはリムネーと一緒に暫くの間神国に行ってみませんか?」

「えっ?」

 余程意外な台詞だったのだろう。珍しく目を丸くして固まっていた。

「観光と社会見学かな。ちょっと特異なところだと思うけど」

「宜しいのでしょうか…」

「カードは持っていますよね?」

「あっ、はい。食堂を利用するのに使うと言われましたので…使った記憶はありませんが」

 まあ、永遠のプレオープンだから…内部の人には。

 大使館の人達は普通に各国のお金でチャージしているらしいし…そう考えたら食堂と売店って無茶苦茶外貨獲得してない?あれ?そのお金、何処に!?

 ちょっと愕然としているとフィウヴェさんが少し申し訳なさそうな顔をする。

「しかし、それだと神様方のお世話が…」

「あまりなんでもやると自分で片付け出来ない駄目神様になっちゃうから…ね?ゆる姉様?」

 ビクゥゥッ!

 僕の台詞にそんな擬音がつくくらい体を震わせたゆる姉様。

 あーた、何やらしているのかなぁ?

 自分の所の人を1階に派遣したり色々自由にやっているのに…

「あっ、ああ!色々手伝ってもらっているからフィーちゃんにはお小遣いをあげよう!うん!カードにそのまま入金したから神国で買物とか美味しいものを食べたら良いと思うな!」

 ゆる姉様…あからさますぎて涙が出そうですよ…

「ユグドラシル様っ…ありがとうございます!」

 あっ、罪悪感に苦しんでる。

 その罪悪感の一部をミツルギ姉様にもですね…まあ言っても無駄かなぁ…

 ちょっとため息を吐いてリムネーを呼んで神国案内をお願いした。



「アクセサリーとかであれば…趣味で作ってます。シンプルなシルバーアクセサリーだけど」

 まさかの石長比売様が作れるとの事だったので神様としてのアイテム作成方法を教えてもらうこととなった。

「神力を使って作るとかなりの力を消費する…だから出来れば材料を用意するか、権能で材料を調達してからがいい」

 んんんっ?

 神力で作るのと権能で材料調達するのって何がどう違うのかなぁ?

 何か初っ端から躓いた気がしますよ!?


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