978話 大山鳴動スそしてFA?と問う佑那
うん。この都市結界内でここまでの術を展開できるんだなぁ…って。
スーツ姿の玉藻お姉さんが神隠しの家の上空で術式を展開している。
「…易、だと!?式盤…か?」
「凄いですねぇ…それぞれの卦に言葉が書かれて…それがグルグル回って…あ、止まった」
「立体術式!?天が円で地が四角…天地盤を術で構成しただと!?」
「これは…完全に仙術…しかも仙狐の領域を越えてると思うんですけど!?しかも十二天将を疑似召喚とか…!」
みんなが混乱しているなぁ…
10分ほど空中で術式を動かしていた玉藻お姉さんがこちらにやってきた。
「お姉さんもう疲れちゃったぁ~」
そう言って抱きついてきたので抱き返して背中をトントンと叩くと「きゅぅ~」と玉藻お姉さんがちいさな悲鳴をあげた。
「お前さん、妖怪じゃなかったのか?」
「妖怪ですよ?ただ、老師の元で仙術を習い人の営みに憧れた哀れな女狐です。終いには仲間に裏切られ…
洞穴族、ダンジョンの者達に騙されていることも分からない馬鹿な陰陽師や武士に追われた力なき妖孤です…まあ、狐の生から今日までの間で、一番満たされているのは今なんですけど!」
そう言いながらも僕を抱き上げて頬ずりする玉藻さん。
なんかそれ、癖になってません?
「そもそも私、宮中にいたのはただの泥棒退治でしたのに…帝に見初められてしまい逃げられないところを他者が呪詛を掛け、私の側に居た帝がそれを受けて病気に…という何とも阿保らしい内容ですし。私本当に無実なんですけどね?」
「…当時は冤罪が当たり前のようにまかり通っていたらしいからな」
物騒すぎるし、あの頃って貴族の方が不衛生という話も…
「冤罪、駄目、絶対。だからこの子が冤罪を掛けられた時は…ホントウニ、スベテヲテキニマワシテシマウオカト!」
「玉藻お姉さん、落ち着いて!」
「はい!お姉さん落ち着きました!」
「お仕事の話ですけど、空中で陣を展開していたのは…何ですか?」
僕の疑問に玉藻お姉さんは事もなげに答えた。
「ああ、あれはあちらに作り上げられていた地陣に天の陣を組み入れてこちらの都合の良いように作り替えただけです。境界をこじ開けてダンジョンゲートに結界を張り、更には坤為地の理を以て出口を示しているので中に居る人達は速やかにダンジョンから脱出できると思いますよ?」
「…おいおい、お前さん、既に昇格神の資格保ってるじゃねぇか。実は万年狐だろ」
「失礼な!私は能力があっただけです!万は生きていませんよ!万は!」
女性に年齢を聞くなんて最低だよ!と、副音声で聞こえます。
なので勘弁して下さい。
「とりあえず」
佑那が手を挙げる。
「玉藻さんは無茶苦茶運の悪い超有能九尾の狐様って事でFA?」
おまっ…今までの話をまるっと聞いていなかったのか!?
全員がそんな顔をする中、
「それでFAです!」
玉藻さん…貴女その番組やっているとき閉じ込められていたんじゃあ…
「残念ッ!美人が抜けています!」
「ああっ!そんなあっっ!」
「…なんだこの小芝居は…」
「……佑那嬢ちゃん、スゲぇな。ここでそんなネタぶっ込んでくるのか」
「誰も真似できませんよしかもハズレとか」
3人が虚無顔なんですけどぉ!?
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