979話 欲しかった機能と色々出てくる疑問
「兎も角!私の力であの住宅の結界変更と陣を作成し、その陣の力でゲートとその入口を確保、防護致しました」
「それは…神と同等の所業では?」
「いえいえ。神々の結界は一層構造で瞬時に出入り可能ですが、私の結界は二層構造…ダンジョン内から結界を通り結界内で再判別、浄化を経て外結界を通って世界へと出る…これが精一杯です」
「「その機能が欲しかった!」」
課長と僕が叫んだ。
「えっ!?えっ!?何なんですの!?」
「その機能が!欲しかったんですっ!」
「その機能があればあのような人の皮を被ったような化け物達が堂々と外で闊歩しなくても済む!」
「えっ?えっ!?何が起きているんですか!?」
課長と僕に詰め寄られあたふたしている玉藻さんに説明をする。
「……ガワを被って突破?神々の眼は節穴なんですの!?」
「ええっと…体内に憑きものを飼っている人や人よりの妖怪達まで弾きかねないからそこまでガチガチに出来ないって…」
「あぁ、そういうことでしたか…いやいや待ってください!それでも生きた魔石などを有している者を弾くくらいは出来るのでは!?」
「「生きた、魔石?」」
何それ初耳なんですが?
「───まさか、それもご存じではない?えっ?これ、私しか知らない?」
「んんっ?…ああ!ダンジョン内の鬼の魔石を引っこ抜いたときに脈動してた!あれのことか!?」
「そうですそうです!……鬼の魔石を引っこ抜いた?」
「酒呑童子さん…なんという事を」
「俺責められるところか!?アイツら無茶苦茶硬い場合もあるから不意打ちで心臓や魔石のある部位をくりぬいた方が楽なんだよ!」
「ああ、成る程。納得がいきました。魔石を1ヶ所に結構数量置いておくとモンスターが発生するのですが、あれは魔石が待機状態になっているという事ですか」
恐らく起動条件はいくつかあるはず。
現在協会内に魔石を大量に置いているのに魔物が発生していない理由は…
「…神聖職の者が近くにいたら、魔石は待機状態のままになる?」
「えっ?」
「まあ、今は都市結界が起動しているため大気が弱聖属性なので起動状態にはならないと思いますが」
「その根拠は、なんですの?」
「これまでの実績です。そして一番凄いのは…その入れ物です」
「入れ物?」
「魔石などの”石”の形状をした入れ物…容れ物ですね」
えっ?
全員が「何言ってんの?」って顔でこちらを見た。
モンスターの攻勢が更に激しさを増し護衛士官以外のアタッカーは満身創痍の状態だった。
防衛側の女性2人もそれぞれが結界を張りながら破られては即座に再構築を行うというとんでもない状態と化して居る中、背後のゲートに光が点った。
「ゲートが再び開いた!?皆さん!退避を!」
美月が叫ぶとダニエルと香也が牽制攻撃をしながらバックステップで2人の元へと戻った。
「香也!ここは任せろ!」
叫ぶ青年に香也が顔をしかめ何か叫ぼうとする中、護衛士官が一歩前に出ながら言葉を発した。
「───いえ、貴方様もお引き下さい」
「一兵卒が何を…!?」
青年が護衛士官を睨むが、ハッと目を見開いた。
「私は尉官だ。貴方達を護衛し送り届ける役を主より仰せつかっている。あまり我が侭を言われても困るのだが?須佐之男神?」
「あ、ああ…済まない」
ギロリと睨むその眼力は明らかに格上の力を有するものだった。
「紅葉様、主から何か預かってはいませんか?」
「えっ?あ、はい。この箱を…」
そう言って小箱を護衛士官に手渡す。
「確かに。では皆様、また後ほどお会い致しましょう」
そう言うと5人を結界で囲み、境界の外へと押し出した。
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