1049話 再利用という名の精霊創造
ちょっと虚無な配信を終えて箱庭へ───戻れなかった。
「ゆうくん、ちょっとこっちゃこい」
えっと…せお姉様、どうして恐らくそんなに関係のない地域の方言を?
せお姉様から「そんな危険かつ強力な神気を使っている訳だからゆうくんにも負担があるよね?」と言うお説教を40分ほど受けた。
道具を使っているのでそんなに負担はないと説明したものの、負担ゼロではないんでしょと言われたらなにも言えないです…
あと、天之御中主様を捕まえてきてくださいと言ったら即座に無茶しないでと怒られた。
いや、無茶しているのはあちらの方で…はい。
涙目で睨まれたら何も言えねぇッス…
解放されて急ぎお夕飯を作って一段落。
『パパ!たいへん!黒いのがうごうごしてる!』
マイヤが慌てた様子で飛んできた。
「あー…流石上の世界の神様方、伝承で言う”垢”はすぐにでも動き出す、か。石長比売様と龍田比売様を呼んでそれを見せてあげて」
『うんっ!』
マイヤがお二方を呼ぶために飛んでいった。
神の気の残滓、それを垢と言うには不敬が過ぎるけれども言い得て妙ではある。
そしてその神の垢は神の眷属となる、が…同時に神に対する反逆を見せる。
歴史には垢を落とした後の姿はほぼなく、それらが次代の主人公となった。
「まあ、須佐之男命が駄々こねて被害が凄かったから追放したって記述がありはするけど…その辺りは記述自体がおかしいわけだから仕方ないか」
僕もそれの元へと向かうことにしよう。
いや本当に…うごうごしてるぅ…
それを見た僕の感想はそれに尽きた。
黒いどろっとしたスライムが蠢いているんだもん。そう言いたくなるよ!
「除去したてって無色透明だったんだけどなぁ…しかもだいぶ削って消滅させたのになんか大きくなっているし」
「「…うわぁ、うごうご…」」
ああ、お二方も同じ感想だ。
「のぅ、マイヤちゃんや…妾の残滓もアレの中にあるのかの?」
龍田比売様、凄く嫌そうにマイヤに問う。
『うん…ぜんぶ一つにしたの』
「…とりあえず実験的に浄化をしながら神気を当てましょうか」
「「分かりました」」
手筈通りに龍田比売様と僕が浄化を。
石長比売様が神気をそれに当てる。
「マイヤはそれが逃げないように障壁で囲ってね?あ、上も気を付けて」
『うんっ!』
全員があらかじめ決めた役割を行っていく。
浄化を強めた理由は権能による浄化と神聖力を使った浄化による実験を行うため。
恐らく神気に関しては与えすぎ注意だと思われるので割合的にはこれくらいが…
「あっ!動き出した!」
蠢いていたそれは色を徐々に変えながら動きを激しくしていく。
それはまるで粘土で人を形成しているような…
ただ、そうは言っても全体量からしてそう大きくはない。
「この地の主神として神々の残滓である君に大地の精霊の役割を与える。覚醒せよ、エーイア!」
浄化の力を更に強めそう叫ぶ。
『───!!!!』
それは声では無いなにかを吠え、姿を変えていく。
そして───新たな家族がこの地に生まれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます