1050話 新しい子の性別は…ありませんっ!
ケホケホと咳き込んでいる。
どうやら吠えたことで喉を痛めたらしい。
龍田比売様も石長比売様も「えっ?何それ」という顔でその子を見ている。
『う~~~っっ!』
あ、涙目だ。
『格好いいのが良い!ゲホケホッ』
ダークブラウンの姫カットの少年?が叫んで咳き込んだ。
どう見ても綺麗で可愛い…なんだよね。
身長は120センチ位だし。
あと、済まない。君の性別設定はしていないんだ…だから目指せるのは綺麗系の格好いいだけなんだ…済まない…
『ケホッ、ボクは武人で、龍の…ケホッ力を持つ精霊なんだ』
「まあそうじゃな。龍神や戦神の神力の残滓も混ざっておるしな」
有無有無と満足げに頷く龍田比売様。
「龍田比売の力とミツルギ様の力ですね。樹神様の神力残滓が大半のはずですが…」
石長比売様が首をかしげる。
「石長比売様とゆる姉様の部分は大地の精霊としての格なんですよ」
「格?」
「龍田比売様は位を捨ててはいるものの存在としての格はそのままのためここで季節と川の流れを司ることが出来ます。まあ、それぞれ一部だけ…ですが」
「格…」
「因みにですが、石長比売様。貴女はここにずっと居たため、位階は違いますが格に関しては主神クラスですよ?」
「ふぁあっっ!?」
分かったことはこの子、箱庭の外に出せない。
多分今は…と言うことだろうけど。
リムネーの時はここ由来の物で構成していたからだし、エーイアはここの大地の精霊だ。
……あれ?
もしかして、やっちゃった?
エーイア、ここから出られないんじゃないのかな?
ちょっと血の気が引いた。
それと、エーイアは世界樹に住むことになった。
なんでも世界樹で修行して大きく格好良くなるのだそうだ。
でもちょっと長めの台詞を喋ると咳き込む。
ガラスの喉かな?
「マイヤ、エーイアのこと気に掛けてあげてね?」
『…』
「マイヤ?」
『パパ、あの子…へんなのがついてる』
んっ?
「どういう事?」
『あの子ね、悪いのがね、ついてるの』
「……んんんっ!?」
除去し切れてなかった!?
『お薬もってくの!』
「待って!浄化じゃないと…」
マイヤが行ってしまった…何事もなければ良いけど…
精霊を創っておいて言う事じゃないけど、エーイアに何をさせよう…突然の事だったせいもあってノープランだ。
兎も角、エーイアの悪いモノが取れる、もしくは除去出来ないといけないんだけどね…どうしよう。
マイヤェ…
エーイアに「おしお水でうがいして!」と言って砕いた晶塩球と湖の水を口の中に放り込んでうがいをさせたらしい。
そしたら黒いヘドロのような痰が出て消滅。
咳が治ったらしい。
…で、神祇結晶を渡して「これ食べたら元気になるよ!」と言って別れたとのこと。
下手するとあの子生後数時間でマイヤに始末されていたのかも知れない。
神祇結晶を直ぐに食べさせちゃダメでしょ…
エーイアも食べたら死ぬと感じたようで持っているとのこと。
もしかすると一番しっかり者なのかも知れないぞ?
今もマイヤから神祇結晶を受け取って僕に目で助けを求めている。
「マイヤ、エーイアはまだ生まれたばかりだから神祇結晶は食べられないんだ」
『!?…おいしいのに』
兄者、知ってるか? 神祇結晶、美味しいらしい。
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