1051話 過労(ドクターストップ超え)
色々トラブルが起きたけど、僕は元気です。
あれから数日が経過し、特に問題無く…とはいかないけれど忙しく過ごしている。
特にうちの課は僕以外が忙しい。
都内数カ所のダンジョンで頻発する襲撃の報は1日20回近くあり、課内の人達は完全に疲れていた。
なので突入班用の護衛士官2名と重装救命官の数を4名用意して出撃人数を減らし、書類仕事の合間にブース横の会議室で癒しの波動やメンタルケアを行っている。
「…岩崎ぃ…」
現在、課長が膝枕と言うよりも僕のお腹に顔を埋めている。
これはちょっと洒落にならない位お疲れモードですね…
「体力は回復出来ても心は直ぐに回復出来ない…」
「一番は寝ることですけどですけど…課長がこの状態だったら巽さんはもっとボロボロでは?」
「巽は休みを分割で取らせている…岩崎のように午後休と、か…」
「それは…課長に負担が」
「………」
「課長?」
寝ちゃってる。
今のうちに課長の状態を確認……うわぁ…これ疲労全然抜けてないよ?
蓄積疲労がMAXから減っていないんですけど?
通常疲労は回復しているのに、これじゃあ直ぐに疲れてしまうのも無理はないよ。
この1ヶ月は睡眠時間が仮眠で平均100分…これ、ドクターストップ案件だ!
課長を寝かせたまま急いで西脇さんを呼んだ。
「…人?」
「超人だからこそ死んでいないレベルですよこれ」
「課長、ムチャしやがって…」
医療班3名が愕然としている。
「今すぐ入院させるレベルですよ?課長は1日22時間はここに居る人ですから」
「部長もそれに近いけど、あの人の場合は動き回っているわけではないからマシ…と言っても五十歩百歩ね」
「でも2人に抜けられると…」
そう。
課長はダンジョンを主戦場としているように部長は都内都市結界内外の治安維持を請け負っている。
そして両者とも替えの効かない重要戦力。
「部長と課長に2日のお休みを取って貰う代わりに…うちの部隊を全展開します」
白城さんとメリアさんの両部隊を使えば運用は可能だ。
2人ともスキルから独立した存在になっているからコストも800は余裕がある。
護衛士官2人と重装救命官35人分追加出来る。
あれ?白城さん出さなくても、いける?
救命本部通信士を置いて箱庭と通信出来れば問題無いわけだし。
とりあえず、部長に提案しよう。
「───成る程。私もスキルによる部隊展開だから岩崎君が代行しても問題無いと」
部長室に行き提案すると、部長は少し険しい表情で話を聞いてくれた。
「はい」
「貴方が倒れたらそれこそ替えが効かないのに?」
「えっと、僕は範囲がないのと司令官及び本部が僕を介さずに対処するのでフルオートですので…僕は通常通りなんですよ」
「本当に?無理しない?絶対?」
「はい。今も常時この建物を守っていますし…それこそ24時間ずっと」
「…そうね。ずっと守って貰っていたわね」
部長は深いため息を吐いた。
「その分のお給料を出していないわ…ちょっと上と掛けあってくるわ」
「それは結構なので休むことを考えてくださいっ!」
「私は休むと親族が要らないちょっかいかけて来るから休みたくないのよ…」
ええええ?身内が敵状態?
うちと同じじゃないですか…
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