308話 ???~到着と、襲撃と、料理
扉を抜けるとそこは…お社だった。
正確に言えば社“風”な屋敷だった。
「おお!よう来た。お主がこやつの弟………じゃよな?」
巫女のような服を着た妙齢の銀髪美女が少し首をかしげながら出迎えてくれた。
「初めまして。弟で間違いありません」
「お、おお…そうか!うむ。うーむ?……まあ、よい。樹神殿からもよしなに、と言われておる。こちらで暫く休むと良い」
「お心遣いありがとうございます」
「───本当に
神様なんですから分かるでしょう!?
ドンッ、ドンッ、ドンッ
どこか遠くで花火でも上がっているのかな?
そう思ってしまうような音が聞こえてきた。
「…本当にいい加減にして欲しいんじゃがなぁ」
女神様はため息を吐く
「少し確認させてきます」
「ああ。済まぬな」
兄さんが白獅子達似指示を出し、白獅子達が四方に駆けだし…落ちた!?
「お主の獅子たちは自由じゃのぉ…」
「今日は落下でしたね」
「一頭は背面跳びで落ちていったぞ…」
「何故あんな愉快な事を…」
まあ、はしゃぐの大好きな子もいるから…
空間操作で僕の両手を綺麗にする。
そして取り出しました一升飯櫃。これ一合だけは念のために持ってきた。
「兄さん何が良い?」
「塩」
「りょ」
「マイヤお塩取って。あとそこのくぼみに冷水お願い」
『はーい』
マイヤが現れて空間操作で作られたボウルに冷水を入れてその側にお塩の入った小皿を置く。
「ありがとう」
『マイヤも食べたい!』
「了解。6個作ろうかな」
冷水に手を浸してしばし待ち、手がある程度冷えたら水から引き抜いて空間操作で水気を取る。
そして塩をひとつまみ半ほど取り、手のひらに置いて軽く擦る。
次にご飯を取っておにぎりを軽く握るっと、完成。
「はい。マイヤ」
『パパありがとう!』
少し大きめのおにぎりを両手で掲げて喜ぶマイヤ。
うん。癒やされる。
よし、どんどん作っていこう。
「塩おにぎりでも技術の差が分かるな…」
「……なんでこんなに美味いんじゃ…」
兄さんと女神様は2個ペロリと食べてしまった。
「兄さん。この世界ってメシマズなのはどうしてなの?」
「半数がメシマズなだけだぞ?全部では無いぞ?」
「残りの半分も素材の味を生かしに生かした代物じゃがな」
あ、なんか女神様の地雷踏んじゃった?
「さっきも言ったが…アレだ。中世の胡椒パラダイス状態だ」
「………あー…」
大商人や権力者が胡椒や砂糖をふんだんにぶち込んだりしていた頃かぁ…
「ここの連中は限度を知らん。そしてそれが美味しいと信じて疑っていない」
「あ、素材は欲しいかも。食べ比べしたい!」
「1時間で戻る。四地域の代表的なものを用意する」
兄さんはそう言ってスタスタと歩いて行くと縁に立ち、クルリとこちらを向いて───後ろ向きに落ちていった。
「ちょっ!?」
うっかりすると僕も落ちかねないので追わないけど、今の落ち方は絶対攻殻なやつぅぅ!
「心臓に悪いんじゃが!?心臓に悪いんじゃが!?」
「済みません…うちの兄がはっちゃけてしまって済みません!」
兄さん無茶苦茶はしゃいでるなぁ…それが白獅子達に伝播しているんじゃないのかな!?
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