1002話 ジャンヌ猛進。
救急車が何度か往復している音が聞こえる。
多分数台が行き来していると思うんだけど…
お昼になったけど心配だからそのまま残ろうとしたら部長に「配信頑張って!」と言われた。
なんか優先順位違うよね?と思ったけど、幾ら心配しても状況が好転することはないんだよね。
むしろ僕が多少安全な所に下がってその空いた護衛を投入した方が良い。
「───なんて考えていると思ったので来ました!」
「私は巻き込まれました」
「あ、はい…なにがなんて考えている…なんだか分からないですけど、はい」
ジャンヌさんと板額さんが協会に姿を見せたときは軽く騒ぎになった。
あと板額さんの目が淀んでいる。ハイライトオフ状態ですよ?
「えっと、大丈夫なの?」
「はい!」
「はいじゃないが?」
「マイヤちゃんからいざとなったら使って良いと川の水もタンクで貰いましたし!」
「コソコソと何をしているのかと思ったら…えっ?あれそこら辺に撒いたらテロだからな!?するなよ?絶対にするなよ!?」
「ピンチの時は仕方ないですよ?あと、水鉄砲も貰ったのでいけます!」
「帰る」
「まあまあまあまあ…護衛士官さんもセットで突入してくれるわけですから!」
「ああもうとっとと終わらせて帰りたい…」
頭を抱える板額さんと苦笑する護衛士官さん。
うん。これがコミュ強の恐ろしさ…!
「そう言う訳で通常通り配信お願いしますね!私はリアタイは涙を呑んで諦め、アーカイブを見ます」
「…あっ、今頑張って中の連中を追い立てれば配信間に合うかも?」
「行きましょう!今!すぐに!」
ジャンヌさんが掛け出していった。
「………自由すぎない?」
「…アレは猪突と言うべきでは?」
「「…はぁ」」
うん。多分当時のフランス軍もそんな気持ちだったと思うんだ…
僕はため息を吐き出しながら歩いて後を追う二人に合掌をした。
「クリスマスケーキの予約〆切という二段仕込みの罠について哲学的に考察したいのですが」
『いきなりぶっ込んできたぞこの巫女様w』
『罠だったのかあれw』
『なんでも哲学的にと付ければアカデミックに聞こえるという偏見良くない!』
『クリスマス…きっと一人きりのクリスマス』
『私はボッチじゃないのさ』
『なにおう!?敵か!?』
『その時期は会社繁忙期で残業なんですよ。察せ』
『…ゴメン。ごめんよ…』
「日本ほどクリスマスをただのイベントとして遊んでいるのも珍しいかも知れませんね…先の話ですけど、クリスマスプレゼント企画とか…いや、またみんなから怒られるので無しで」
『おっ、漸く学習したぞ』
『巫女様偉い。無理するからみんなに怒られるということに気付いたんだね』
『5人分が10人分になり、100人分になるんだよなぁ…』
『配信でのコンサートで十分ですよ!?』
『そ れ だ!』
『生きる希望が湧いてくる!』
『絶望に震えながら配信見ている場合じゃねぇ!スコップで脱出する!』
『いや何が起きているから絶望に震えている!?』
『村壊滅しているの知らずに来たらグールに囲まれたから石造りの家に逃げ込んだ』
「…なんかとんでもない人がいるんですが?配信見てないで逃げようよ…もしかしたら逃げるのも無理な状況かも知れないですが」
何でこの配信見ている人って何かと戦っている最中に見ているんだろう…僕戦況を悪化させている戦犯扱いされない?
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