1001話 忘れた頃に───刺してくる


「小規模遠征部隊案ッス!」

 タイムさんがバインダーを持って現れた。

 僅か5分。

 流石メリアさん。仕事ができて頼れる!

 ………その調子で事務仕事もして欲しいものである。


 案1

 2部隊編成時の1部隊あたりの構成

 護衛士官2名・重装救命官18名・救急救命士6名・救急機甲医官1名

 救命本部通信士1名・支援物資調達官1名・医療拠点士官3名


 案2

 3部隊編成時の1部隊あたりの構成

 護衛士官2名・重装救命官10名・救急救命士4名・救急機甲医官1名

 救命本部通信士1名・支援物資調達官1名・医療拠点士官1名


 案3

 4部隊編成時の1部隊あたりの構成

 護衛士官1名・重装救命官6名・救急救命士4名・救急機甲医官1名

 救命本部通信士1名・支援物資調達官1名・医療拠点士官1名


 尚、前提条件として

 各自ポーションを複数所持。

 護衛士官は必ず箱庭の水を専用ボトルに入れ、5日以内には帰還すること。

 現場の上位者の指揮下には入らないこと。


「…部長。何カ所に派遣しましょうか」

「えっ?重装救命官って鬼と戦えるの?」

「攻めるのは厳しいですが、守りならさほど問題は無いかと思います」

「問題無いんだ…」

 初期の頃は微妙だったかも知れないけど、箱庭でのびのびと育った(?)部隊員達はかなりブーストされているから…護衛士官も鬼倒せるし…

 何より怖いのは救急機甲医官だったりする。

 実はあの人達、護衛士官より上の位なんだよね…伊達に高コストじゃない。

 しかも攻撃手段が歩兵由来ではなく移動車両や船等に由来する。

 本当に、何処でどんなブーストが掛かったからそんな事に…と言いたいところだけど、理由は簡単。

 箱庭でのびのびと育ったと言うのは冗談のようで冗談ではない。

 僕のスキル救命師団召喚の半分のコスト分は箱庭で召喚をして更に箱庭世界の探索に当たって貰っていたせいだ。

 佑那の神兵と似たような方式を採ったわけだけど、進化しすぎだと思うな…

「では2部隊編成で九州ブロック、近畿ブロックに別れてもらってそれぞれ救援に行って貰うという事でお願いしても?」

 僕の知らないスキル進化に頭を悩ませていると部長が申し訳なさそうに2部隊案を承認したのでタイムさんに言って2部隊案の実行を伝えて貰う。

「そういえば岩崎君、神造ダンジョンについて何か進展は聞いてないですか?」

 一瞬何を言われたのか分からなかった。

 そう言えばそんな話が神様方から出ていたような気がする。

 神国に3つのダンジョンだったかな…それを設置するとか…ああ、そうだった。

「日本の神造ダンジョンはない方向でしたよ。確か」

 そうそう、そうだった。

「えっ?」

「神の威を借る巫女らしいですが、僕だって人間ですし神様方だってアレでだいぶやる気を無くされていましたから…あの後忙殺された結果、今は別の仕事に掛かりきりですね。恐らく僕を侮辱したりネットで散々馬鹿にしたのを世界の総意だとか言って無かったことにするかも知れません」


【ゆる:それ、採用。夜の配信で言うね!】


 oh…口は、災いの元と言うけど…これは…

「岩崎君?」

「…スミマセン。ゆる姉様が聞いていたようです。今日の配信で神造ダンジョンについて言及するようです」

 部長は察したのか長いため息を吐いた。


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