1000話 厄介な状態


 課長と護衛士官と重装救命官5名、そして救命本部通信士、支援物資調達官、医療拠点士官3名、救急救命士5名という少し大規模な部隊構成となったのは中に居る人が思いのほか多かったから。

 突入時に数十名だったのが封鎖のタイミングでは100名を超えていたらしい。

 ゲート管理は外部委託が噛んでたんだっけ?もう協会がやった方がよくない?

 人手足りないけど。

 人手が足りないけど!


「課長殿は少しお待ちを。1班」

「「「「!」」」」

 護衛士官が指示を出すと重装救命官2名と救急救命士2名が頷き突入した。

「2班」

「「「!」」」

 重装救命官2名と救命本部通信士が頷き、突入する。

 直後、通信士からの通信が入った。

『ダンジョン進入。同時に戦闘開始しました。このダンジョンの中層域で発生が確認されるモンスターや妖怪の類いです。死者や被害者多数、追加要請を願います』

「!?入口をモンスターが守りを固めていたと!?」

 刀を構えすぐに突入しようとする課長を護衛士官が止めた。

 僕はダンジョン側のこのやり口にそう言えばと思い出す。

「あー…偶にやるらしいですね。兄さんの記録にも入ってそうそう上から襲いかかられたとかありましたし」

「ということは…中の人間はマズいことになっているということか?」

「そうでしょうね…ということで追加しますね」

 僕はすぐに重装救命官10名と救命本部通信士1名を追加投入することにした。

「現地に重装救命官と護衛士官各一名いるので」

「分かった。現状はどうなっている?」

『入口はもう少しで制圧完了します。完了次我々2班が先行しま───鬼の集団が現れました。防衛は可能ですが出来れば追加投入を』

「…よし。突入するぞ!」

 課長の台詞と共に護衛士官等が先に突入していった。



「救命士4名と救急救命士2名はゲート前に待機お願いします」

 念のため重装救命官も1名待機させて協会へと戻る。

「タイムさん。メリアさんに緊急通達。部隊編成は任せますので護衛士官を主とした小規模遠征軍を組織してくださいと伝えてください」

「ラジャーッス」

 協会の建物に入る前に重装救命官に警備強化をお願いし、医療班に至急救急車の手配と病院への受け入れ準備を依頼するようお願いして部長室へと向かう。

「現状は?」

 入るなり長谷川部長が僕に確認を取ってきた。

「現場前まで行きましたが、厳しそうです。入口付近にモンスターが居り出口を塞いでいる状態でした。

 更にそれを排除したところ鬼の集団が現れたとのことでしたので課長と僕の兵が突入しました。

 念のため入口に救急救命士と救命士、防衛の重装救命官を置いていますので医療スタッフと病院への手配準備を行った方が良いと判断し、医療班に伝えてあります」

「…分かりました。しかしこれは…どういう事なのかしら」

「自棄になったというわけでも無さそうですし、読めないですね。他の所にうちの部隊の派遣準備を指示していますが…」

「お願いするわ。私の部隊だと遠くまでは行けないから。一応九州は殲滅部隊が既に突入したらしいわ」

「…鬼の集団と戦えますかね」

「そこは…相応の武器を優先的に提供している訳だから大丈夫だと思うけど、数にもよるわね」

 部長と僕はため息を吐いた。


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