1003話 おやつ…みたいに甘くない夜の配信


「じゃあ、今日はご飯系では無くおやつ系をつくりますか」

 そう言いながら隣のスタジオへと移動する。

「さてさて、おやつは何が良いかなぁ?」

 ちょっとした悪戯心で女性化をする。

「よい子のみんな~今日のおやつは何が良いかな~?」

『ママ!マイヤね、マイヤね、キャラメルさんとプリンさんが食べたいの!』

『えっと、えっと、アップルタルトが食べたいです。お母様』

 まさかのマイヤとリムネーが釣れたんですけど…


『おっきなカボチャプリン、みんなでたべたいの』

 あっ、遅れてみいくんもやってきたみたい。

「うーん、じゃあ今日は普通のプリンとカボチャプリン、黄金リンゴのタルト、そしてタルト生地作るのでクッキーも作りましょうか」

『ぺったんしていい?いい?』

 マイヤが焼きごてを掲げて聞いてくるので、

「ペッタンしていいですよ」

 苦笑しながら頷いた。


『この時点で尊さがオーバーフローしているんですが』

『ぺったんされたい』

『その前に作る品数についての突っ込みは無いの!?』

『その前にあるだろ!?黄金リンゴって何!?とか!』

『いやあ…巫女様やぞ?』

『神界のトンデモ果物なんだろうなとしか』

『まあ、偶にその神様がどん引きするものを持って来る兄者がいるし』

『巫女様のお兄様だから仕方ない』


 兄さんへの変な意味での信頼感…

『お母様、何か手伝えることはありませんか?』

 リムネーがどことなくソワソワした様子で私の所へやってきました。

「それなら一緒にクッキー生地を作るのを手伝ってもらっても?タルト生地と一緒に作るので多めに作らないと」

『はいっ!』

『おてつだい…』

 少し寂しそうな顔でマイヤの横に立つみいくんに私は声を掛けます。

「みいくんはちーくん達を呼んできて欲しいんだけど、できる?クッキー一緒に作ろうって」

『ちーくんたち、よんでくる!』

 みいくんはお手伝いが出来ると目を輝かせてスタジオを飛び出していき、マイヤはそっとみいくんの後を付いていきます。

 そこら辺がマイヤのお姉さんといった感じかな?

 まあ、その後は白獅子っ子達がみんな来てわちゃわちゃとおやつを作るおよそ1時間配信となりました。

 みんなが笑顔でお菓子を作ってそして美味しく食べて…

 きっと視聴していた人達はある程度喜んでもらえたと思います。

 そして、夜の配信が始まったのです。



 SIDE:世界



「IBN始まるよー!」

「えっと?なんの頭文字です?それ」

「イ・ブラセルニュース」

「思った以上にそのまんまだった!?」

「トップニュースのあとはいくつか来ていた質問に答える感じだから。まず最初のニュースは黄金リンゴのタルトを巡って神々がガチの殴り合いをし、2人が全治一晩の怪我をしました」

「せっかく貴重すぎるくらい貴重なものを奪おうとするから…」

「これに関してはノーコメントで」

「と、犯神の1人が述べています」

「奪おうとしてないからね!?2ミリ大きいやつ取ろうとしただけ!」

「と、犯神は無実を訴えております」

「むぅ…次は、日本国内3ヶ所、世界全体では31ヶ所のダンジョンで内部限定のダンジョン侵攻が発生した模様。

 犯行目的は不明ながらリソースの確保が狙いと考えられます。入口でモンスターが待ち構えるなどかなり危険な状態となっているので注意が必要です」

「次は…前からちょこちょこ来ていた質問だけど、神造ダンジョンはいつ出来るんですか?という質問ですが、何のしがらみもない神国には本日夕方にプレオープンさせているよ。

 ただ、世界各国に関しては某巫女に対して散々な言動や対応をしたり、現在進行形で悪意を向けさせている組織や国があるため計画は一時凍結中さ。

 こっちのことを馬鹿にしながら物寄越せとか、食べ物寄越せ、神なんだから無限に出せよとか…ゆうくんに対しても暴言の数々…不敬が過ぎる。

 そんな連中の多い地域は順次石板撤去していく事が決まったので自力で頑張れ」

「横暴だなんだと騒ぎ一線を越えた奴等は…もれなくおもーいペナルティを科すから安心してね。神相手に無敵ごっこが何処まで通じるか…やってみたら?」

 まさかの配信内容に世界中がパニックになった。


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