1071話 ママァ!と叫べる職場
SIDE:日本 協会本部
「隊を更に分割して現在の2部隊から3部隊に編成をし直す!幸いな事に岩崎が護衛士官と重装救命官を追加派遣してくれた。これで早番遅番それぞれにマスタークラスのアタッカーとディフェンダーまとめて配置できる!」
藤岡の台詞に遅番の全員が沸き立つ。
「これで少しは休憩出来ますね!」
「ずっとランニングしまくっているようか記憶しかなかったからありがたいっす!」
「これで、人手不足が少しは解消出来…ないな。うん」
「関東2区もここと変わらない位修羅場らしいからなぁ…」
「関西は比較的マシになったって聞いたよ?」
「あっちは久我道場があるから…」
今まで余裕がなかったためか、心に余裕が出来職員達が思い思いにしゃべり出す。
と、
「おい、班分けしてから喋れ」
藤岡のドスの効いた声に全員が一斉に動いた。
「ふむ…夜勤固定シフトメンバーと変動メンバーで別れた訳か…しかし良いのか?これからは多少変動させても問題無いぞ?」
「昼はギリギリまで姫様の配信を見て過ごしたいので夜勤で!」
」「リアルで姫様を見ると多分挙動不審になるので夜勤で!」
「あっ、私も!今日なんて部屋でママァ!って叫んじゃったし、職場で叫ばない自信が無いです!」
夜勤の職員達の意見を聞き、藤岡は頷くと小さく息を吐く。
「……残念ながら今日職場で叫んだ者が2人居てな」
全員がゴクリと唾を飲んだ。
きっとその後社会的制裁を喰らったに違いないと信じて疑わない顔だった。
「全員が同意して終わりだったぞ?」
───えっ?
「戻って来た奴等も配信見てそう叫んだ奴が数人居たらしいが、全く同じ反応で終わったそうだ」
「…日勤のメンバーは変人ばかりしか居ない!?」
「いや俺らも人の事言えないからムッツリかオープンかの差と…駄目だこんな言い方だと最悪じゃねーか!」
「…姫様の尊さは万人が認めていてその尊さ故に叫んだだけだから仕方ない」
「
「喧しいわ!夜勤は変態もいるから色々な意味で釣り合いが取れているじゃないか」
「あの、自分ずっと日勤希望出しているんですが…」
手を挙げた高野に藤岡は無慈悲な現実を突きつける。
「お前は岩崎から同担勤NGと言われているからな?」
「そんなっ!?」
「某はっ!?」
「私はっ!?」
ショックを受ける高野を見たダニエルとミシェルが藤岡に慌てて詰め寄る。
「2人は特に問題無いらしい」
「「あ、じゃあ固定から変則に」」
即答だった。
「っ、謀ったな!?」
「キョウヤ…君はイイ奴だったが、君の性格がイケナイのだよ…」
「好きな子を苛めるとか最近の小学生でもしないみたいですよ?」
高野が何か言い返そうとしていたが、
『中層階で小鬼が出没しているとの報告が入りました!強行班は至急探索者の救援に向かって下さい!』
緊急アナウンスに高野は深いため息を吐く。
「行ってきます…」
「ああ。お前さんの班が出てから1時間後に他班が出るからな?」
「了解です…俺何処で間違えたんだろうなぁ…」
そんな事をぼやきながら高野達部隊はダンジョンに向かった。
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