640話 代理配信と、派閥
SIDE:佑那
「と言うわけで兄さんはふて寝しているので代理配信です」
『妹様やんけ!』
『どういうわけ!?』
『巫女様は?』
『なんか凄くかったるそう』
ああ、どうやら兄さんが配信すると思ってすぐに集まってきたようで。
「どこかの馬鹿が兄さんをダシにして政府に対してデモ活動なんてするからふて寝しています。連日よくも馬鹿な事するなぁ…と呆れながらの配信です」
『え゛っ!?』
『巫女様のために活動しているのに!?』
『巫女様が日本を見捨てるのは政府が悪いからって聞きました!』
『何でそんな酷い事を言うんですか!?』
『まあ、そうですよねぇw』
『巫女様の妹だからって傲慢じゃね?』
『巫女様、今の内閣とはそんなに仲悪くないですよねぇ』
うわぁ…釣れた釣れた。大漁だな!?
コメント欄が私への非難6割、納得3割、何事かと驚く内容1割程度かな?
とりあえず煽り倒そう。
「おー…考え無しの狂信者?がいるよ。少し考えたら分からない?そのデモ活動が兄さんのためになるなんてあり得ないでしょ。巫女選出活動をして兄さんを叩いていた連中がどうして今回のデモに参加しているの?」
実はこのスタジオに入ったとき、神様リークがあった。
何でもデモの主催の中で数名ほど兄さんアンチの連中で、巫女の座を降ろそうと画策していた連中の残党…のスポンサー側らしい。
『本日15時からそれらの頭上に扇動者の称号を光らせておくよ』
とは祓戸様のお言葉。
そしてその15時から祓戸様方も配信を開始するという。
さあ、世界を激震させてくださいよ?
『は?』
『何その掌返し』
『極端から極端に走りすぎてねぇ?』
『あー…そう言う意味で保身ね』
『えっ?私騙されていた?』
『はあっ!?巫女様は政府に苦しめられているんだろ!?いい加減な事言うな!』
『情弱乙w』
おー…コメント欄でバトル勃発している。
じゃあ、私も燃料を投下しましょうか。
「ああ、祓戸様からの言伝忘れてました。本日15時より祓戸様方が配信を再開させるそうです。
あと、巫女解任運動をした後保身のために今回のデモを画策した人達の頭上には同タイミングで扇動者の称号を光らせておくそうですよ」
『ファーw』
『流石祓戸様!』
『事前準備完了した闘いw』
『保身のためにデモを画策した人達ですね』
『黒幕涙目w』
『マジで誰に喧嘩を売ったのかなんだよなぁ…』
『巫女様純粋に被害者過ぎない?』
『日本マジで見捨てられればいいのに…』
「ああ、コメント欄喧嘩しないでください。私は兄さんを否定している連中を否定したいわけでは無いので。
頑なに神を信じない、自力で戦えるといった人達が一定数居るのは分かっていますし、巫女という存在を否定する人達もどうでも良いんです。
ただ…恩恵を受けておきながらソレを否定するのは間違いじゃない?神を否定し、悪霊や悪魔、妖怪とスキル無しで闘った事もない人間が自力で戦える?
職業とスキルを封印された状態で小鬼を倒してからモノを言って欲しいですね…まあ、何のスキル補助も無しに鉄柱を殴って大きく凹ませる位でないと倒せませんし、スキル補助のない状態で銃を使っても小鬼を倒せるなんて出来ませんからね?」
数年前から小鬼や餓鬼、グールやガイコツなどの脅威の雑魚敵に対して遠隔操作やAIドローンによる攻撃実験が行われたらしいけど、ほぼノーダメージだったという研究結果が出ている。
人が銃を手に持ち発砲した場合は微かにダメージが入る。
結論としては人は無意識にスキルを使用している。もしくは人が保有する正エネルギーがアンデッドや妖怪などに対して有効なのではないか。
そう言った論文だ。
外国の論文だけど。なんか、日本のとある学派では否定されているらしい。
だから広まらないし、大々的にやれば圧が掛かる───と喜々として講師が講義していた。
スペイン語の講義で。
本当に、知識って大事だよなぁ…取捨選択は必須なのは当たり前だけど。
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