641話 配信と、配信前のお国紹介
私は話を続ける。
「あと結界は復活するらしいですが───」
『そこからは僕らが言うから言っちゃ駄目ーーーっ!』
祓戸様がストップを掛けてきた。
「では私の配信は終了致します。では!」
そう言って私は配信を終了した。
SIDE:祓戸配信
「はいはーい!正式な配信は15時からだけど、事前に神国を軽く案内するよ!」
祓戸はそう言って歩き出す。
「この国には空港や港はないよ!ただ転送ルームがあるから問題無いよ!」
『えっ!?』
『どういうこと!?』
『転送と言うだけに…ええええっ!?』
『最大容量は!?』
「Bクラス先導者1人に対して80名だね。Aクラスなら120名だよ」
そう言いながら36本の柱が立つ場所に到着する。
「ここが転送ルームだよ!」
『ルームとは』
『思いっきり外なんだよなぁ…』
『ギリシャ様式?』
『3~400人は入れる大きさだね』
「ルームだよ?障壁で囲まれた部屋だからね!もし外敵が来たら即殲滅できるようにね!」
『殺意高ァ…』
『確かに重要箇所だからね!』
『でも簡素すぎない?』
『なーんもないんだよなぁ…』
「まあ、中から外を見たら面白いよ」
祓戸はそう言いながら中に入り、外を見る。
それに合わせてカメラが外を向く。
『神秘的だけど、近未来的とか』
『この光景を見ていたら涙が…』
『観光でも何でも、一度は行きたいです』
『両サイドに寺院と教会が合ってその先に神社って…ありなの?』
『全部が芸術的なんですが!?』
「まあ、普通鳥居に関しては駄目なんだけど、あの神社に関しては問題無いよ」
笑いながらそう言い、転送ルームを出た。
暫く通りを歩き何の気なく教会へと足を向ける。
ゴシック様式の教会は外部からも分かるほど大きなステンドグラスが見えた。
中に入ると明るい教会内に女性が一人掃除をしていた。
「あれ?リムネー?」
『あっ、祓戸様。教会へようこそお越し下さいました』
掃除の手を止めたリムネーが祓戸へ一礼する。
「修道服着て掃除して…どうしたの?」
『?掃除をしているだけですが…ここが終わり次第神社のお掃除を予定しています』
「そこはゆうくんと同じなんだ…」
『お父様はお忙しい方なので私がお手伝いしなければ…それにこの国を任された以上しっかりと管理させて戴きます』
微笑むリムネーに祓戸は「あ、これカメラの向こうの人達ガチ恋不可避でしょ」と俗な事を思いながら曖昧に笑った。
『祓戸様はどちらへ?』
「神社に行こうと思ったけど、そろそろ時間だから戻ろうかなぁって」
『そう、ですか…お越し戴きありがとうございました』
リムネーが少し寂しそうな顔をし、深々と頭を下げる。
『なんか申し訳なさが凄いんですが!?』
『リムネー様の寂しそうな微笑みを見ているだけで心臓がドキドキするんです!』
『それは動悸ですか?』
『お医者さんに行った方が良いですよ?』
『罪悪感半端ねぇ…』
『巫女様関係者はスゲぇなぁ…(困惑)』
「あっ、うん。またね……」
祓戸は珍しく一礼して配信ブースへ転移した。
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