919話 いざライブ当日


 おはようございます。

 朝です。

 昨日のお夕飯ですか?

 ニンニクマシマシ餃子を大量に作りましたが何か?

 ただしタイムさんとフィラさんはヘルシーな市販の冷凍のすり身フライ1個と三分粥を用意したから泣いて喜んでました。

 さて、僕は現在非常に困っています。

 巽さんに電話をしてもメッセージを送っても反応がありません。

 困っていることと言うのは…会場入りの時間はいつなのか等です。

「課長は聞いてますか?」

「会場しか聞いてないな…あとは協会職員はカードを使っての入場としか」

 朝、午前中は出勤するという課長に確認を取ったものの、課長も詳細は知らないらしい。

「巽さんが張り切りすぎた結果ですね」

「任せすぎたというのはあるが、あいつはいつも一人でやろうとするからなぁ…」

「どこかで倒れているとかでは無いですよね?」

「部屋に居るのは分かっている」

「爆睡しているッスよ、スーツ姿のままで」

「……巽さん、疲れてるんだね…これ、明日まで寝るパターンでは?」

「いや、それは……………4~5徹だったら可能性はある、か。しかし移動中に寝ているだろ、流石に」

「巽さんですよ?移動中は色々なチェックでしょうね」

「巽だからなぁ…」

 課長と僕は同時にため息を吐いた。



 会場の事務所を訪ねると準備は終わっているのですぐにでもリハーサルが可能とのことだった。

 と言うか、予定表を持っていた。

 僕その予定表すら持っていないんですが?巽さん?巽さーん?

 ───と、ちょっと考え込んでいたら事務員さんがコピーしてくれた。

「あのっ!リハーサルでしたらすぐにでも使用可能なので気を落とさないで下さいっ!」

 いや、それで気を落としているわけじゃないんですけどね?

 まあリハーサルをしても良いと言われたからちょっとは言って確認を…


「なに、これ」

 会場内は巨大な術式が蠢いていた。

 黒い帯が地面を、天井を、壁を形成している。

 それらは会場内を何か別の物へと作り替えようとしているようだった。

 薄らと見えるそれは、神殿?

 しかしこれは、ダンジョンでは?

 いやでも、ここは都市結界の中で、そういったものを排除───

「あんのはた迷惑さんの仕業か!アレなら出来る可能性もあるのか!」

 ちょっとブチッと来た。

「神域展開!範囲、会場内!」

 白銀の帯が舞い僕の一歩先、会場の空間へと伸びる。

 このダンジョン術式を、塗り潰す!

「僕はダンジョンには入らない、作らせない」

 だから完成前にこの空間を、潰す。

 空間と空間がぶつかり合って力が通路、僕の後方へと逃げていく。

 背後で悲鳴が聞こえたけど無視。

「一切合切放り捨てて逃げたアレが仕掛けたモノ…これが例えトラップであっても、僕は絶対に打ち破る」

 神域展開の力を更にあげて追加で聖慈母の風格を任意使用する。

 目標は自分を中心とした半径5メートル空間。

 神域スキルと併用する事で対邪自動迎撃を強化。それによってこの空間を破壊する考えだ。

「さあ、何処まで強度があるかな?試してみようじゃないですか」

 僕はもう一段階力を籠めた。


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