915話 ばにーなダンス!
配信を終え、お夕飯を作っているとジャンヌさんがやってきた。
「佑那のパートの一部を代わりに?今から覚えられるんですか?」
7曲目のダンスを代わりにやらせてもらえないかという打診だった。
「隊長の目が死んでいるので少しでも負担軽減をと…」
「うーん…練習でどうにか出来るものではないしなぁ…」
とりあえずという事で手早くお夕飯の準備を済ませて2曲ほど振り付けを教えた。
ジャンヌさん、即ダウン。
それを見ていた板額さん達が「えっ?」って顔をしていた。
「慣れない事をするから…佑那だって初めは慣れてなかったからすぐダウンしてたよ?」
「…普段使わない部分を鍛えるには、良いと思いますが…」
「戦闘で使わない部分なんて無いはずなんですけどねぇ?」
「ふむ。鍛え方が足りぬと言うわけでもある」
板額さんがそう言いながらジャンヌさんを立たせる。
「今の動きであれば覚えたので通常の早さでお頼み申す」
あっ、武人モードになってるぅ…
とりあえず同じ曲を通常スピードで歌い、踊る。
それにピッタリ合わせるように板額さんは踊りきった。
「なかなかにキツいが…踊れないわけでは無い。が」
引き締まった表情で踊られても…ねぇ?
「うん。表情が真剣な顔でやってるから…相手を油断させるための舞いだと思ってやった場合はどうなんですか?」
「!?日本武尊の逸話ですか!確かに…意識を切り替えます!」
まあ、間違っちゃいないけど…うん。
「えっと、じゃあもう一度ね?」
同じ曲をもう一度歌って踊る。
「如何でしたか?」
「……凄いね。僕を前面に引き立てるように位置移動しながらひたすら笑顔」
まさに人に紛れての行動を目的としたような…あと気配を薄めてたし。
でも問題は…
「板額さんがあのコスチュームを着る事が出来るかどうか…」
「えっ?」
僕の呟きに板額さんが反応した。
「あの、どのような衣服なのでしょうか…」
「バニーガール」
「?」
僕とマイヤ、リムネーは着ぐるみバニーで、佑那と廣瀬お姉さんがバニーガールの予定だった。
「こんな服なんですけど」
現物を見せる。
「……………………」
板額さん絶句。
「一度、一度見た事はありましたが…これを着ろと」
「佑那が着る予定でしたし」
「~~~~~~!!」
顔を真っ赤にして一歩、二歩と後ずさり…脱兎の如く逃げた。
うん。僕とほぼ同じ反応だね!
でもね…みんなに追いかけられて捕まるまでセットなんだ…
「待ってくださ~~~い!」
「待つか!あんな、あんな肌を露出た扇情的な格好を一般大衆に…!」
それ言ったら僕の他のコスチュームもクレームつけたくなるんだけどなぁ?
『モフモフダンスだめなのかなぁ?』
マイヤが着ぐるみバニーで現れた。
「佑那と廣瀬お姉さんはバニーガールでしょ?実は着ぐるみバニーで踊る方が難しいんだ。マイヤとリムネーは浮けるからそんなに難しくないけどね」
『パパも浮く?』
「パパは浮かないでも歌って踊れるから大丈夫だよ。ありがとうね?」
抱きついてきたマイヤを撫でながら僕は追いかけっこを見ていようか、お夕飯を配膳してこようか…なんてのんびり考えていた。
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