318話 ???~さくばんはぐっすりでしたね

 目が覚めた。

 兄さんに抱きついていた。

「ん~…」

 抱きついたまままた寝ようかな…

「起きているだろ?朝ご飯作るからそのまま寝ていろ」

 そう言って兄さんは起きて料理を作りに行った。

 僕はそのまま再び眠ってしまった。


「ん~…?」

「朝食だぞ」

「ん~…たべる」

 体を起こす。うん。僕の布団は隣だ。

「やっぱり限界を超えていたんだな」

 ちょっとふらつきながら立ち上がった僕を兄さんが抱き留める。

「一度眠ったからか揺り戻しがきているかも知れないな…」

 なにそれ怖い。ってわっ!?

 抱き上げられて移動されてしまう。

「兄さん!?恥ずかしいんだけど!?」

「動けるようになってから言ってくれ」

「う~~~っ…ごめんね?」

「そこは「ありがとう」…分かってて言ってたな?」

「兄さん。ありがとう」

「どういたしまして…ほら」

 席に座る。

 今日の朝食は豚肉の味噌焼きとタマネギのお味噌汁、きんぴらごぼう、白米。

「どうぞ召し上がれ」

「いただきます」

 お味噌汁を一口。うんお味噌の塩味とタマネギの甘みが良いバランスだ。

 豚肉の味噌焼きを食べる。

 噛むと肉汁が出てきて味噌と合わさって…ご飯が食べたくなる。

 箸休めにきんぴらごぼうを食べてまた白米を食べる。

「美味しいなぁ…うん。やっぱり兄さんのご飯は家庭の味だね」

「そうか。友紀にそう言ってもらえると嬉しいよ」

 うん。兄さんはやっぱり料理上手だ。僕ももっと頑張らないと!



「おはようございます!」

「おーう…今日は呪人族からの攻撃が無かったが、何かしたかのう?」

 社に着くと女神様が面白そうな顔で僕たちに声を掛けてきた。

「?いえ、もち麦の紹介とかそういった事くらいですよ?あと、神様は柱の社に居て毎日攻撃が煩いってふて腐れているって伝えたくらいですけど…そんなにすぐ伝わるものですか?」

「どうかのぅ…たしか全体で17万人ほどだったかのぅ」

「種族で、ですか?」

「うむ。だいたい全種族平均4~500年と設定しておるのでな。人口が増えぬ」

「十分長生き…と思いますけどね…地球の人間は最大でも120年前後くらいですし」

「増えすぎても減りすぎても問題がある。そこはバランスが大事なんじゃが…だいたい人間側が問題起こして勝手に滅びるんじゃよなぁ」

 最悪じゃないですか…

「確り餌やりもしていたのに、勝手に「我等こそ最も神に愛された一族なり!」とか言い出して他種族を滅ぼした後に疫病で絶えよったわ」

「「うわぁ…」」

「そこからリセットせずに痕跡だけ消して再度人族を創り、簡単な説明後は放置して追った結果が…これじゃ」

「極端から極端に走りすぎでは?」

「序盤にもう少し教えてやればなぁ…」

 僕と兄さんの意見にガクリと落ち込む女神様。

「まあ、分かっておったんじゃが、初期の連中、神の記述はしても細かな事を残さなかったせいで第二世代以降は己等にとって都合の良い神を崇めておるわ」

「と言う事は、信仰無し状態ですか?」

「ほぼないのぅ…木人ですら厳密に言えば妾に似た何かを信仰しておる」

 女神様は苦笑しながら「妾が消えるまでの間に変化があれば良いか、無理そうじゃなあ」と息を吐いた。

 ───説明が必要だと思うんですけどねぇ…


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