18話 TS化した僕は追撃をする?

 ベッドルームから戻った僕を待っていたのは血相を変えたお二方だった。

 何事ですかいな。

「樹神殿は無事か!?」

[ぇえ~?僕何もしてないですよ?]

 というかせお姉様は樹神殿って呼んでいるんですね。

「いやお前それどころじゃないぞ…」

[せお姉様後ろ後ろ]

「済まない…まだ鼻血が止まらなくてな」

[大丈夫?上向いてトントンしました?]

「あ~…なんかあふれ出て」

[もう、しょうがないなぁ…はい。ちょっと上向いて?]

「んぅ?……!!??」

[んっ…はい。吸い出せたから後は軽くトントンって…ミツルギ姉様?]

「は?…まさか、また!?」

 あ、体が光って…あれ?居なくなった。

「本気で尊死したーーーーー!?」

 ───と思ったら僕の隣で満面の笑みを浮かべて立っていた。

「いやあ…不思議ですねぇ。再構成と世界を越えるのはかなりの労力が居るのですが、ぜんぜん疲れないんですよ」

「うわぁ…このヒト更に元気になってるぅ…」

[?まあ、元気になった事は良い事ですよ?鼻血も大丈夫みたいですし]

「鼻血が肉体再構成で治らなかったら恐ろしいって…分体とはいえ神殺しと言えるんじゃないかこれ」

[えっ?ミツルギ姉様!?]

「まあ、私の血も飲んだみたいですし、色々強化できて私としては万々歳です」

 えっ?強化?

「まさかそこまで考えて?」

「鼻にキスをされた時に「あ、血を吸った良しっ!」ってな」

「駄目だまだ壊れたままだぞ!?あと口調が偶に変わってる!」

「戦神モードになってしまう事がしばしばあるから仕方ない」

[うちの兄さんもそんな感じですね。その時は周りから「理不尽の権化」とか「歩く戦術核」とか言われてますし]

「いやそれどんな家族だ!?何をやらかしたら周りからそう言われるんだ!?」

[妹は3年くらい前から反抗期に入ったので僕は反抗期がおさまるまで実家に戻れませんし]

「…本当にお前さんの家族、何なの?」

[良い家族ですよ?色々ありますけど]

「む~…なぁに?煩いんだけど…」

 あーあ、起きちゃった。



「───そっかー。私寝ちゃったんだ。初めてだから分からなかったけど、今体がすっごく軽いよ」

[良かったぁ…ゆる姉様の様子がおかしかったから凄く心配だったんですよ?]

「ゆーちゃんありがとう。おかげで寿命が10年は延びたよ!」

[神様なんですから2,3000年は延ばしてくださいね?]

「神にも限界寿命はありますからね!?」

「神によっては生まれ変わるのもいるから振れ幅凄いんだよなぁ…」

「生まれ変わるのは私だね!」

[お三方とも命大事にでお願いします]

「まあ、無理なく頑張るよ。こんな改良も自在にできる素晴らしい拠点もあるし」

「できたばかりの大好きな妹に怒られそうですし?」

「大切な人と場所を守るのは当然だよ!」

「っと、時間的にゆーくんの寝る時間だ。戻ってお休み」

 ミツルギ姉様に僕は「ありがとうございます」とお礼を言って部屋を後にした。



 部屋に戻って気付く。

 今日は朝からもの凄く濃密な一日だったなぁ…と。

 大半は変な出来事だけど、最終的には良い一日だったと言える。

 明日からは朝ご飯の準備も増えるからいつもより少し早く起きよう。

 うん。今日も良い一日をありがとうございました。

 明日も良い一日をみんなが迎える事ができますように───

 僕はゆっくりと目を閉じた。

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