45話 TS化した僕は町を歩く(大惨事)①
行動計画書を課長の机に提出し、振り返ると巽さんがいた。
普通に音や気配無かったんですけど!?
「…姫がその格好で心底ホッとしました」
[いや分かるよ!あの格好だったら何かあった時ヤバイって事くらいは]
この格好でも運動音痴の僕だけにどうしようもないんですけどね。
「いえ、その格好の姫であればほぼ全員同一人物とは思いません」
[一人バレたけどね!]
「えっ?」
[今廊下の方で待っている子がいると思うんだけど、彼女は真っ直ぐ僕の方に来たよ]
「以前から知っているとかではなく?」
[多分それはないかなぁ…告解室から出てきたのあの子だよ?]
「眼に生気がしっかりと宿っていましたが…成る程。姫に救われた者なのですね」
[違うと言い切れないところが辛い…あ、そうだ。午後あの子と一緒に銀行行くんだけど]
「はい。…はい?」
───男装の麗人説明中───
「…成る程。宝くじですか…姫。かなり重要かつ基本的な話になりますが」
えっ?なに?
「現在お持ちの身分証明書ですが、性別が」
[……あっ。でも執事モードになれば!]
「別人扱いされかねません」
[デスヨネー…どうしよう]
「そうですね…家電量販店付近となりますと…あちらですので…」
巽さんが考え込み始めた。
巽さんなら、巽さんなら何とかしてくれるっ!
「事前に連絡をする程度で済むかも知れません。少々お待ちください」
そう言って巽さんは個人のスマートフォンを取り出してどこかに電話を始めた。
「───30分以内に目的の銀行には連絡が行きますので問題ありません。ただ、前日にお届けした身分証明書を提出していただければ」
[…ああ!そういえば身分証あったね!]
プライベートボックスから文箱を取り出し、中から身分証を取り出す。
そしてふと気付く。
[この写真、いつの間に撮られたのか分からないんですが…]
「私は常に姫のシャッターチャンスを狙っておりますので」
その返しはよく分からないっ!
はい。現在駅前の銀行に向かっていますが…何故か周辺は人で埋め尽くされております。
「お姉様…大人気ですね!」
[解せぬ…いや、銀行で何かあるとか周辺でイベントがあるとかでは?]
「姫の魅力にひれ伏し道を譲らぬ者は要りません」
[えええええ?]
納得できない回答に顔をしかめながら銀行の中へと入る。
「ちょ!アンタ等!」と聞こえたけど時間が無いので銀行にin。
「なんだテメェ等!?」
そして武器を持った強盗さんとエンカウント。
「邪魔です」
「おぼっ!?」「はぐぅ!?」
そして即殲滅されてしまった。
御免ね?今巽さん機嫌悪いんだ…
「誰でも構いませんのでこの転がっている不埒者を縛り上げてください」
巽さんはそう言いながら武器を取り上げてカウンターに置く。
「そもそも姫がいるので戦闘にもなりませんが、念のためです」
[…僕何も言ってないよ?]
「中務省の巽です。支店長はお手すきですか?事前に連絡があったと思うのですが」
動揺とざわめきの混ざった空気の中、巽さん無双は続く。
「あ、はい…奥の別室へどうぞ」
どこか呆けたような気の抜けた声で奥の席にいた中年男性が立ち上がって案内してくれた。
換金手続きは何の問題も無く終わった。口座の方に振り込んでもらえるらしい。
そして現在、警官数名に囲まれております。
どうしてこうなった!?
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