115話 試演~とりあえず試験運用的に…え?生放送?
僕はそのまま言葉を続ける。
[現在もかなり多くのメッセージを戴いているようですが、私の方で全てを見ることはできません…?]
と、タブレットにメッセージが表示された。
【せお:私がチェックしているよ!ロクデモナイメッセージは弾いているし、攻撃的なメッセージは敵対行為として対処するから。】
[…ええっと、メッセージの方は祓戸様が確認しているとのことです。攻撃的なメッセージは敵対行為として対処するとのことです]
そこまで言ってチラリと巽さんを見ると「えっ?」という顔で僕を見ていた。
【ゆる:海外はこっちで処理するから】
メッセージを見てゾクリとした。
一応、この事も話しておこう。
[一応、追加でお話ししておりますが、国内は祓戸様が対応するとのことですが、国外の場合は異界の大神…記者会見の際にお越し戴いた方とは別の神様が対処するとのことです]
そう伝えたあと、タイムスケジュール通りに淡々とコーナー内容を告げていく。
そしてタイムスケジュール最後のエンディングの部分で指示が「今の気持ち」と記されていたので僕は一瞬考えた。
───僕の今の気持ち…ねぇ。何故こんな事を入れたのかは分からないけど、きっとそのままの気持ちを言って欲しいんだろうな…
少しクスリと笑う。
[えっと、エンディングトークとなっていますが、今の気持ちをと書かれています。
突然職業変化が起きて男だった僕がこの様に女性になりました。
そして神様方に導かれ、お仕えしながら色々なことを教えていただき、お伝えしております。
ただ、職業変化による女性化からまだ十日も経っていません。僕は何もかもが分からず、足りない状態です。
記者会見の席でもお伝えしましたが、僕はただのメッセンジャーです。僕自体が特別ではありません。ただ、神様の目に留まっただけの人なのです。
ですので、この動画で情報が知りたいというのであれば僕はメッセンジャーとしてできる限りお伝えします。僕に話を聞いて欲しいという方は変化前の職業は聖女でしたので話を聞いたりすることも、多少は行っていました。
経験の浅い僕ですが、それでも話を聞いて欲しいという方がいましたらどうぞメッセージをお寄せください。
この動画が画面の前の貴方の一助に、または一時の慰めになれば幸いです。
では、また会える日を楽しみに今回の動画を終えたいと思います]
そう言って、カメラに一礼した。
「…姫様。宿命も何もない一般人だった姫様は、何故そんなに強くいられるのですか?」
[僕は強くないですよ。ただ、受け入れているだけです。受け入れた上でどう出来るのか…です]
「受け入れるのも強さだ。それは忘れないでくれ」
[はい。ありがとうございます。ああ、途中から僕何言っていたのか分からないです]
力なく苦笑する。と、
「それは仕方ないさ。ん?どうした?」
[…えっと、もしかして動画撮影、切れていません?]
「アア、ワタシトシタコトガー」
絶対わざとですよね!?
慌てる僕に対して巽さんはわざとらしくそう言いながら撮影を止めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます