767話 配信事業(独立部署とも言う)


 SIDE:協会本部


「そんな!我々は巫女様のお父様に助けてやって欲しいと!」

「そうだ!劣悪な労働環境で働かされているから助けてやって欲しいと言っていたんだ!」

 拘束された男2名が口々にそういった。

「…その話、本当か?」

 藤岡が2人を睨み付ける。

「ああ、本当だ。俺らが先週末に会った際に巫女様とそっくりな人がそう言って…」

「父親と名乗ったのなら間違いなくダンジョン関係者だ」

「「えっ?」」

「ソイツは数年前から行方不明だぞ。それにな、岩崎家は両親揃って育児放棄していてあの兄弟達から蛇蝎の如く嫌われているんだぞ?」

「「え…」」

 磯部が追加情報を開示するとその2人は更に動揺する。

「確かに前協会長時代は私と同じ位岩崎は働いていたが、それは都度上に上げていたし、現会長になってからはその無茶に報いるためと神々の饗応対応の意味も含めは午後から自由裁量としている。

 配信も含め協会業務の一環として給料を払っているんだ。本当に配信を止めても良いのか?」

「あっ、そっか…業務の一環だからあの七日間も出てなかったのね」

「…今気付かれても困るんですが?…部長さん。稟議にそのように書いたはずですし中務省とのタイアップでもあるので金銭のやりとりは発生させないと」

「私が一番死んでいた時期でしょ…細かい所までは覚えて無いわ!」

「それで良いのか管理職…その割には不利益になりそうな書類はカットしているようですが」

「んー?…ああ、金品では無く金銭にした件?だってあの子お金のやり取りは絶対にしないだろうけど、善意で物品…ダンジョンアイテムとか神様関連からのアイテムを配りそうだと思ったから」

「まあ、うちの部署にいながら独立部署として活動させている形だしなぁ…給料もかなり増やしているが気付いた様子は無い」

「あの子って何処まで自分のお給料に無頓着なの?」

「その前後に狂ったように入出金があったからだろうな」

「あー…」

「───話を戻して良いか?」

「「どうぞどうぞ」」

「やりにくいな…お前等9人全員一度特務隊庁舎で取調を行う。現在逮捕拘留の手「大臣、許可下りました」…手続きは完了したので全員詳細を確認すると同時に越権行為の処分も同時進行で行わせてもらう。連れて行け」

 部隊の人間達が9人全員を引っ立てていく。

「各部署が済まない…」

「毎度毎度大変ですね…防衛大臣なのにルビが「岩崎担当大臣」になっていませんか?」

「なっているだろうな…俺の半生岩崎家だらけなんだが?」

「何それ羨ましい」

「代わるか?奴等は飲み放題のビール感覚で胃をクラッシュさせてくるぞ?しか今回みたいに誰かが暴走して頭を下げ、後処理をする係だぞ?」

 昏い笑みを浮かべる磯部に2人は心底ご愁傷様と心の中でとをあわせ…

「んっ?岩崎からメッセージだ」

「えっ?なになに?」

「………あー…うん。考えることは一緒だったようだ」

「えっ?どういう事?」

「課長と部長がもし退職するとしたら僕の退職届もついでに出して下さい…とさ。退職届も添付できた」

「うわぁ…まあ、今回はだ(ドサッ)ちょ!?磯部大臣が倒れた!?」

「またッスか!?ボス!回復薬飲んでください!ゆっくりですよ!どうせすぐに悪化するんですからゆっくり飲んでください!」

「「………哀れ」」

 長年の部下達の無反応とぞんざいすぎる救護活動に「ああ、こうなるのか」とガチでどん引きした2人だった。


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