298話 3day PM3~夕飯完成とお出迎え…できないっ!?

「買ってきたッス!」

 段ボール箱を抱えてタイムさんが戻ってきた。

「お帰りなさい。タイムさんありがとう」

「なんか良く分からないんスけど、めちゃくちゃ感謝されたッス」

「どう言うこと?」

「良く分からないッスけど、スーパーの人に作っているところ紹介されて行ったんスよ。そしたらカニかま600gのやつがあったんで5袋買ったんスけど…何故かめちゃくちゃ感謝されたッス」

「良くわかんないけどまあ、大丈夫ならいいや」

 卵とカニかまが来たからストップしていた料理を一気に作るぞ!


 カニかま万能すぎワロタ。

 半ば冗談ですけど、冗談ではない。

 余ったカニかまは中華風サラダに入れた。

 野菜たくさんあるからちょうど良かった!

 みんなお野菜をたぁんとお食べ!という気持ちを込めた。

 お使いに行ってくれたタイムさんには青椒肉絲を少しだけ味見してもらう。

「美味いッス!これは美味すぎるッス!」

 実は青椒肉絲は2種類作ってある。

 一つは神様用としてピーマン、タケノコ、シシトウ、豚ロースをメインとしたもの。

 もう一つは一般人用としてタケノコを抜いたものだ。

 だってタケノコは箱庭神域のやつですし?

 炒飯を5升のお米で作ると120人分というちょっと訳分からない量になった。

 更に5升分のご飯を要しているので…合計220人分。

 いくら何でも此処までは食べないよね!?お客さんが来たりしない限りは!

『パパ!お客さんが来たって!』

「マイヤありがとう。さて…どう出迎えようか」



「───と言うわけで、明日は今日半減するだけだったのがきえるよ!」

「今日必死に訓練した人達はその努力が報われる!胡座書いていた奴はザマァ!」


『まだだ。まだ後数時間ある!』

『辻ヒールに勤しんでますが、未だに感覚が掴めません!』

『そう言えば合衆国どうなったか分かりますか?』

『もしかして明日は無くなるだけ?』

『ロリ神様のおかげで今日も頑張れました!』


「あ、言い忘れてた!実は───」

 祓戸が何かを言おうとしていた所をユグドラシルが大声で遮ってしまった。

「ちょ!?ゆーちゃん!?」

「えっ?ま゛っ!?」

「ゆーちゃん!ちょっと!ちょっとこっちに!」

「え?なーにー?」

 トトトトッとスタジオのガラス前まで来る幼女。

 そう。幼女がそこに居た。

「ゆーちゃん中に来て!」

「えー?今からお客様お出迎えだよ?」

「くぁぁぁぁっ!?そのゆーちゃんがあざと可愛すぎてっ!」

「ゆうくん!ほら!お姉ちゃんのところ来て!」

「ちょ!?せっちゃん!?」


『祓戸様が壊れた!?』

『あざと可愛い巫女様?』

『え?なにそれ怖い』

『見せてください!是非!是非ッ!』

『その新たなるお姿?を!!』


 ガチャッ

「もーっ、せお姉は強引だなぁ」

 そう言いながら入ってくる幼女を祓戸は素早く抱きしめた。

「あああああっっ!可愛い!可愛い!可愛いよぉぉっ!」

「頬ずりくすぐったいってば!」

「狡い!私も!私も頬ずりする!」

「ダブルは反則だってば!うにゃ~~~~~っ!」

 幼女を挟むように抱きつく少女達。


『 』

『 』

『 』

『 』

『キ』

『マ』

『シ』

『ああああ尊い!』

『理想郷がここにあった…』

『おれ、おもいのこすことない』

『今ならこの世の善意を信じられる』

『てぇてぇ…なんでだろう。涙が…』


「もおっ!お客さん下で待たせてるのっ!」

 怒ってます!という雰囲気で頬を膨らませる幼女…友紀だが、

「行っちゃやだぁぁぁっ!僕とずっとここに居るの!」

 祓戸は全力でだだをこねて抵抗を始めた。

「そうだよ!私達と配信しよう!?」

 それに呼応するようにユグドラシルも説得を試みるが…

「何言ってるの?謹慎中だよ?」

「「ド正論っ!?」」

 友紀の一言に二神揃ってテーブルに突っ伏した。と、

「ゆーたんっ!?」

「ふみゅうっ!?」

 突如、友紀は何者かに抱き上げられる。

「ちょ!?みっちゃん!」

「可愛い!もう可愛いっ!可愛すぎるっ!」

「~~~~!!!」

 それは戦神ミツルギだったが、威厳も何もない限界化した妹大好きお姉ちゃんとなっていた。

「みっちゃん!胸!埋もれてる!」

「っぷわ!もぉっ!ミツルギ姉!急に来てどうしたの?」

「え?ああ!トラブル発生だ。奴等祓戸の言っていた核を使うようだぞ?」

「ちょ!?そっち簡単に忘れて良いものじゃないからね!?」

 祓戸は大慌てで何かをいじり、配信画面のコメント欄が消え、ミサイル発射場らしき場所が映し出された。

「さて、みんなで見守りましょうか…どうなるのかを…」

 祓戸は冷ややかな視線を画面に浴びせながらも口元に笑みを浮かべていた。


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