70話 TS化した僕は壁ドンしてみる

 神域に入るとそこは修羅場だった。

「うちの娘を襲う奴等は根絶やしです!」

「落ち着いて!もしそんなことをすればゆーくんが悲しむだけだから!」

「でもそれ以上に奴等をのさばらすのは!」

「ゆるが対象全員の肺に花を咲かせているからそれで勘弁してやってくれ!大量の死者が出たらそれはそれで困るから!」

 伊邪那美お母さんとミツルギ姉様の言い争いデス。

 しかもミツルギ姉様が止める方という…

[えっと、おかあさん。僕は大丈夫だから!]

「でも!お母さん何にもしてあげられなかったのよ!?」

[お母さんが居てくれるだけでも安心感が違いますよ?]

「ゆうちゃんっ!」

 抱きついて来ちゃった…

「ゆーちゃん!女神像!」

 ゆる姉様がタイミングを見計らってやってきたのでプライベートボックスから取り出して渡す。

「この子探してたんだよねぇ…負けた理由がワイルド系イケメン邪神にベタ惚れして攻撃できずに負けたんだよね…邪神側も困ってしまってとりあえず封印してどこかに流してしまえって流したらしいんだけど…拗らせかぁ」

[拗らせた挙げ句に兄さんにガチ恋って…]

「ゆーちゃんのお兄さん、この子と結婚しないかな?」

[しないと思います(即答)]

『!?』

「あーあ、ショック受けちゃった」

[だって直接会ってないですよね?像越しでしか、いや話もしてないですよね?]

「えっ!?」

[兄さんの事だからリリートゥさんはわざとだとしても、その女神様は名前すらいっていないから兄さんは僕に伝えていないんだと思います]

「ホントにそうなの!?」

 確認するゆる姉様に対し、

『……』

 いや、今更ただの女神像のフリはおかしいよね!?

「割っちゃおっか」

 わぁお…ゆる姉様怒ってらっしゃる。

 そうやって居る間に…そぉいっ!

 プライベートボックスからリリートゥ像を取り出した。

「うにゃあああああああああっ!?」

 素早く逃げようとしたところを抱きついていた伊邪那美お母さんがガッチリキャッチ。

「うちの子から逃げようなんて…貴女も死にたいようね…」

 まだスイッチ入ったままだった!?

「反抗期な子達ばっかりだねぇ」

 ちょっと呆れるゆる姉様と、

「私が悪魔を躾けましょうか?」

 殺る気満々なミツルギ姉様。

[うーん…両方とも兄さん大好き系なんですよね…]

「そうみたいだな」

[あまりやりたくないけど、やってみようかな…]

「何を?」

 モードチェンジ。執事モード

「それがあったか!」

[まあ、でも見てくれが似ているだけって感じですが…兄さんみたいに、と言うよりも他所から見た兄さんイメージでちょっとみたいと思います]

「やらかすて…」

[まずはリリートゥさんを像から強制解除してください]

「どーぞ!」

 流石ゆる姉様です。

 怯えて逃げようとしていても、伊邪那美お母さんが腕を掴んだままなので逃げられない。

 そして側には扉と壁がある。

 そうだね。壁ドンだね!

「ぴゃっ!?」

 逃げ道を塞ぐように壁ドンしてみた。そしてジッと目を見る。

 悪魔なので邪眼があるかも知れないけど、無効!

 そして少し力を込めて…

「お前、俺のモノになれ」

「はぃぃぃっ!」

 怯えているけど顔真っ赤。うん。良い子良い子。

 ニッコリ笑って頭を撫でると……あ。ダウンした。

【契約が完了致しました:使い魔1】

 姉さん事件です。何か僕に使い魔が出来たみたいです!

「ちょっと古い感じだったけど、超至近距離のトロトロボイスとニコナデコンボは即死だと思う」

「まあ、だからああなったんだろう?」

「あー…」

「うちの子が悪い道に走らないか不安に…ならないわね。何故か」

「ゆーちゃんだし」

「そうだな」

 駄目出し良くない!

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