991話 ちびっ子達のリクエスト
脂とタレが炭火に落ちてジュウジュウと音を立て、香ばしい煙の塊が鼻孔を襲う。
「あと30尾は処理したいなぁ」
『う な ぎ 配 信』
『まさかいきなりのうなぎの焼き配信とか』
『巫女様…色々とたまっていたんですね』
『うねうねしていて気持ち悪いんだけど!?』
『おまっ!日本来て食え!美味いんだぞ!?俺これのために4度来日した!』
『え?正気?ゼリー以外で食べられるの?』
『アヒージョ美味いぞ?』
『うああああ!巫女様の所のうなぎだぞ!?絶対美味い!』
『流れるような包丁さばきと串打ちに焼き…鰻重食べたいいいいい!』
「うーん…やっぱり前みたいにひつまぶしが良いのかなぁ…う巻き、通常の巻き寿司、鰻重…きんし丼だとう巻きと感じ的に被るかぁ」
43尾ほど準備をして一息吐く。
コメント欄がちょっと荒ぶってる。
『美味いマズイとかどうでも良い。腹減った』
『巫女にゃんこ達とマイヤちゃんの注文だもの。態々持ってきてのお願いだし?』
『猫にうなぎとは…良いんだっけ?』
『猫じゃない。巫女にゃんこだ!』
『私日本にいます!うなぎ食べたい!』
『香りだけでも…香りだけでも』
『よせ!場所によっては深夜だぞ!?飯テロどころの話じゃねぇ!』
『香りだけでもいい!白米は用意した!』
『だからお前だけの配信じゃねぇんだぞ!?』
言い合いが始まっているけど…見る限り食べたいとかそういったレベルのやりとりだから放っておこう。
そうそう。さっきちびっ子達からお夕飯のお願いがあったのだ。
しかもうなぎを捕ってきたらしく、魚籠3つにドッサリと。
一番のちびっ子であるみゆちゃんは手ぶらだったけど、マイヤもちょっと大きくなって魚籠を抱えていた。
「ご飯は…8升では足りないかな。もう一回4升炊かないと…」
ちっちゃい子達はタレが多い方が喜ぶし、ご飯多く食べるからなぁ…鰻重とひつまぶしセットとか。ああ、だし汁も用意しないと…
『8升?えっ?更に4升?12升ってお茶碗120杯?』
『何言ってるの?1升は20~23人分だよ?』
『明らかにうなぎが足りてない件について』
『神様1人あたり5合飯なんやろ(目逸らし)』
『巫女様にかかる労力が笑えねぇ…』
『これでも軽くなった扱い』
『巫女様を楽にさせる方法を考えようよ…負担軽減をさぁ』
『神々に対して真摯に祈ることくらいかなぁ…それで神々の空腹度が少し減る?』
あー…神様への祈りかぁ…今なら少しマシになっているのかなぁ…
雑念問題が───んっ?スタジオの外でちびっ子達が一生懸命ジャンプして中の様子を見ようと頑張っている。
マイヤは浮いているから良いけど…マイヤに手招きをしたら箱庭ちびっ子組がやってきた。
そして入ってくるなり香りに目を輝かせている。
まあ、そうなるよねぇ…
僕の分ちょっと切って太巻き作ろうかな。
厚焼き卵とうなぎ、そしてキュウリの太巻きを手早く作る。
マイヤとみいくん、みゆちゃん、ちーくん達は太巻きに釘付け。
「これおやつね。お夕飯までこれで我慢だよ?」
「『『『うんっ!』』』」
ちびっ子達は元気いっぱい頷いてモグモグ食べ始めた。
ああっ、うちの子達が可愛すぎてもっとご飯を与えたいっ!
お夕飯食べられなくなっちゃうかも知れないからあげられないけど…こんな嬉しそうに食べたらもっとあげたくなるのが…っ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます